新年を迎え、新シーズンへ期待が高まる。それぞれのチームにおいて、新戦力の獲得に若手の成長とポジティブな要素が多く見られると思う。一方で、チームを去る選手たちもいる。助っ人外国人選手もその1つ。“助っ人”という立場上、激しい競争にさらされる。
巨人では22年シーズン限りでビエイラ、メルセデス、デラロサ、ポランコ、ウィーラー、シューメーカー、アンドリース、クロール、ウレーニャの9選手が自由契約となった。残ったのはウォーカーただ1人。5枠という少ないイスを争うだけに、シビアな競争に直面する。本人たちもそれは十分に理解している。そんな状況でも明るく戦う姿はカッコ良く見えた。
ビエイラは常に明るいナイスガイだった。NPB史上最速の166キロ右腕も昨季は不調でファーム暮らしが続いた。それでも落ち込む様子は全く見せずに、いつも笑顔で汗だく。大きな声と大きな体で自分を追い込み続けた。日本語も上手で「キャッチボール、イキマス!」と声出しを担当することもあった。
メルセデスはイジられ役だった。育成からはい上がった苦労人で、日本語も堪能。戸郷や高橋ら年下の投手陣にイジられても「ウスイダケ!ハゲテネエシ!」とキレ味抜群でツッコんでいた。来季からはロッテでプレーすることが決定。古巣対決が楽しみになる。
デラロサは苦労人だった。故郷・ドミニカ共和国では、家が貧しく満足な暮らしをできなかった。「子どもたちにはそういう思いをさせたくない」という一心で野球に打ち込んだ。来日前の17年8月にはプロ入り後2度目のトミー・ジョン手術を受け、現役復帰の可能性は5パーセントとも言われた。家族のために異国の地を選んで踏ん張った。日本の野球文化に対しては「オンとオフの切り替え方を知らない。スポーツは楽しいものだからもっと楽しまなきゃ」とも言っていた。日本愛があるからこそ思うことだった。
ポランコは陽気だった。神宮では13試合で打率3割5分7厘、7本塁打を放つ“神宮男”。試合前のフリー打撃では東京ドームの看板に直撃する特大アーチを連発するパワーヒッターだ。ホームラン後にする芸人なかやまきんに君の「パワーポーズ」は盛り上がった。大勢らチームメートと食事に行き、スニーカーをプレゼントしたこともあった。来季はメルセデスとともにロッテでプレーする。“ZOZOマリン男”になれるか。
ウィーラーは、ほぼ日本人だった。21年シーズンの最初、初めて囲み取材に入った際、日本語での質問中、通訳する前にも関わらず返答を始めた。よく耳にする日本語なら大体は頭に入っているのだろう。ホームランを打ったときの「くるりんぱ」も印象深い。今年からはプレーヤーを引退し、「編成本部長付特別補佐兼打撃コーディネーター」という肩書で球団に残る。持ち前の明るさでチームを底上げしてくれるはずだ。
シューメーカーは独特だった。ワインドアップ時、顔を隠しているグラブをシャッターのようにゆっくり一定の速度で下ろす。「精神統一と呼吸を整えるため」という動きが特徴的だった。登板までの調整も日本人とは違った。先発当日には試合前練習はグラウンドには姿を見せず、室内で黙々と準備する。さらに聞いた話によると、登板前はサウナにジャージー姿で入って整えるという。
アンドリースは家族に愛されていた。1軍では5試合の登板で、白星を挙げることは出来なかった。ファーム生活も長かったため、よく家族がジャイアンツ球場の2軍戦に観戦に訪れていた。まだ小さい子供は青い瞳で抜群にかわいらしかった。
クロールはラーメン好きだった。加入したのが昨年7月と所属していた期間は短かったが、中川が離脱している中、左のセットアッパーとして奮闘した。
ウレーニャは寡黙で器用だった。内野は一塁や三塁だけでなく、二塁も遊撃も器用にこなした。8月にはホームベースを踏み忘れて取り消される珍事件も。その次に本塁打を打った際、ランナーだった2軍調整中の坂本にホームベースを指さされ、「踏めよ?」と笑顔でイジられていた。来季からは育成選手として楽天に加入する。ベース踏み忘れには気を付けてほしい。
9選手それぞれが、覚悟を持って遠く離れた極東の地で戦ってきた。それは他球団の助っ人たちも、今季から加入する選手も同じ。1人の日本人として、日本を選んでくれたことに感謝とリスペクトの気持ちを持ち続けたい。【巨人担当=小早川宗一郎】




