「百戦錬磨」と言われる、ベテラン左腕のすごみを目の当たりにした。ソフトバンク和田毅投手(42)だ。

17日楽天戦(山形・きらやかスタジアム)。1点差に迫られた2回1死三塁。打席に8番太田を迎えた。スクイズも想定されるこの場面。カウント2-1からの4球目だった。太田がバントの構えを見せ、和田はとっさの判断で外角高めへ外したのだ。太田は横っ飛びでバットに当てようとするも空振り。三塁走者の小郷は封殺(記録は盗塁死)となった。和田は「打順的にも下位(打線)で、1点差だったので(スクイズの)可能性はあるなと頭には入れていた。ランナーは見えないですけど、バントの構えをしたので外した」。機転を利かせた超ファインプレーだった。

同点を防いだその1球、甲斐のサインはスライダーだったという。和田は「スライダーの握りで真っ直ぐみたいな。カット(ボール)のイメージで(甲斐が)取れる範囲のところで外せば、何とかなるだろうと。(甲斐)拓也のことは信頼しているので」と言った。

自身初の山形での登板で今季最長6回を投げ3安打1失点。さらに地方球場は10年以来13年ぶりだったが、3回以降は無安打投球で1四球のみ。日米通算21年目のベテランに「慣れないマウンド」での戦いも関係なかった。

これで、NPB通算2000投球回到達まで残り2イニングに迫った。「もちろん次(の登板)で決めないと。今日のような姿をまたマウンドで示していきたい」と、球団最年長の42歳はさらなる高みを見据えた。熟練の投球術があるからこそ、今なお第一線で戦い続けられている。【ソフトバンク担当 佐藤究】