妙な“負の連鎖”から1人、脱出してくれて、ほっとしている。

日本ハム福田俊投手が、11日の阪神戦でエスコンフィールド初登板した。5回2死満塁のピンチで起用され、昨季までチームメートの“直球破壊王子”渡辺諒に、3ボールから3球立て続けにストレートを投げ、最後は空振り三振に斬って取った。両親も観戦する前とあり「四球と三振では、えらい違いますよね。苦しいながら最初の登板が三振だったってことは良かった」と苦笑いしながら、振り返ってくれた。

11日阪神戦の5回表2死満塁で、日本ハム福田俊は阪神渡辺諒を三振に抑える
11日阪神戦の5回表2死満塁で、日本ハム福田俊は阪神渡辺諒を三振に抑える

手に汗握る場面での登板。見ている側の緊張感も半端なかった。「1つのアウトがすごく遠かったですね」とは言うものの、3ボールになった際、ちょっとだけ笑みを浮かべていたようにも見えた。「めちゃめちゃテンパっていたわけではないんで。何回も3ボールになった試合もありましたし、ここで投げやりにならずに1つ1つ丁寧にやろうかなと。頭では冷静でした」。いい意味でプロ5年目のゆとりが、土壇場での快投につながったようだ。

11日阪神戦に2番手で登板した日本ハム福田俊
11日阪神戦に2番手で登板した日本ハム福田俊

福田俊と言えば、新球場最寄りの星槎道都大出身。このコラムの2月分で、大学時代に取材した際にもらった直筆サインが記者の自宅テレビ上にあることを書いた。1日でも早く1軍に上がって欲しいと心待ちにしていたので、ようやく新球場で投げる姿を見られて、うれしかった。

ちなみに、プロ野球担当に変わり、初めてこのコラムに寄稿した昨年12月分では、苫小牧駒大(現北洋大)時代に取材した伊藤大海投手の話を取り上げたが、4月5日の初登板から4戦連続で白星がなかった。福田俊も4年目の昨季、13試合で自責1と安定し今季の飛躍を期待したが、5月まで約2カ月、2軍暮らしだった。自身が取り扱った選手が、軒並み開幕から苦戦していた。

伊藤は登板5戦目の5月2日西武戦で勝利を挙げ、福田俊も大ピンチの中で初登板し、結果を出した。2人が徐々に調子を上げてきてくれて、うれしさと同時にちょっと、安堵(あんど)した。

5月2日西武戦で今季初勝利の日本ハム伊藤大海は記念球を手に「1」ポーズ
5月2日西武戦で今季初勝利の日本ハム伊藤大海は記念球を手に「1」ポーズ

以前、Jリーグクラブを担当していた際、自身が試合前に取り上げた選手が、立て続けに負傷したり、大きなミスを繰り返したりすると、不安が募った。自分の記事が「デ○ノート」と呼ばれやしないだろうか…。ちなみに4月はコーヒー好きなコディ・ポンセ投手に、自分で焙煎(ばいせん)したコーヒー豆をプレゼントした話を取り扱った。こちらは「今度持ってくるよ」と約束した直後の登板で負傷。豆は渡せたが、その後、治療のため一時帰国してしまった。

おや…これはいけない展開だな、と。そういえば、1月分で取り上げた4年目左腕の根本悠楓投手が、開幕から2カ月以上たっても2軍生活だ。高卒2年目の昨季3勝を挙げ、キャンプ中はローテ候補と期待していたが、苦しんでいる。

確か、1月の自主トレ中、寅さんが映画の撮影で訪れた地元北海道・白老町の虎杖浜神社の階段を駆け上がり、飛躍を誓っていたはずだ。寅さんは突然帰ってきて柴又を盛り上げ、マドンナにほれて振られて、また旅に出る。悠楓はつらいよ-。2軍で苦しむ現在は、自分探しの1人旅か。寅さんのように、明るく元気に苦境を乗り越え、大観衆待つエスコンフィールドを盛り上げてほしい。

ポンセも15日にようやく再来日。因果はまったくないとは思うが、変な“呪い”などとささやかれないうちに、2人が元気にマウンドで躍動する姿を見たいなあと、切に願っている。【日本ハム担当 永野高輔】