高校野球の季節が今年も訪れた。7月28日は昨年“V歓喜の輪”を作らなかったことで知られる奈良県大会決勝、生駒対天理が行われた一日。

約1年前、天理の主将としてその中心にいた阪神ドラフト5位戸井零士内野手(18)は、現在鳴尾浜で鍛錬の日々を過ごしている。

決勝当日、生駒はコロナ禍によりベストメンバーをそろえられなかった。結果的に21-0と大勝した天理ナインだが、相手を思いやり勝利時の「歓喜の輪」を自粛。その呼びかけを行ったのが戸井だった。監督と2人で話し合い、決定。9回2死で、初めてナインに考えを明かした。「普通にスッと受け入れてくれた。元々チームワークは良かったんで。そこは信頼して言えました」と、その瞬間を振り返る。

話題や感動を呼んだ一戦から約1年。現在はバットの構え方を模索するなど、鳴尾浜で攻守に試行錯誤を続けている。「いま野球できることがありがたいということと、人の気持ちを考えることは天理でも学んできた。今も人間的な面で生きている」。学んだ感謝を忘れず、全力で野球に打ち込んでいる。

現在後輩たちは全て1点差で勝ち上がり、奈良県8強入りを果たした。「結構危ない試合してるので」と笑いながらも、「このまま勝ち上がって行ってくれたら」と期待。甲子園出場時には何かしらの差し入れも計画中だという。3年間の経験を糧に、まずは1軍への昇格を目指す。【阪神担当 波部俊之介】

22年7月、9回2死、選手だけでマウンドに集まり「喜ぶのはやめておこう」と話し合う天理のメンバー
22年7月、9回2死、選手だけでマウンドに集まり「喜ぶのはやめておこう」と話し合う天理のメンバー