9月に入った。1日時点で、西武は1軍が借金14のパ・リーグ最下位。2軍が貯金19のイースタン・リーグ3位となっている。

西武担当記者として運用しているX(旧ツイッター)のアカウントが、おかげさまでもうすぐフォロワー1万人に達する。たまにダイレクトメールが届く。

「○○選手をなぜ1軍に上げないのか、監督に聞いてくれませんか?」

この問題は難しい。1軍の中心選手とポジションがかぶってしまうことがある。ご時世柄、自身や周囲に健康面での事情が突発的に出ている場合も。「これを身につけてほしいから一定期間は2軍」と定めているケースも聞く。

2軍でいい数字の選手が、1軍で近いものを出せるとは限らない。若手が多く1軍でプレーする今年の西武の場合、特に顕著に出る。「打率」と「OPS(出塁率+長打率)」にフォーカスし、何選手かの数字を比較する(数字は8月31日時点)。

◆長谷川信哉

(1軍)打率2割2分2厘、OPS=0・620

(2軍)打率3割1分5厘、OPS=0・832

◆呉念庭

(1軍)打率2割5厘、OPS=0・614

(2軍)打率3割2分8厘、OPS=0・943

◆愛斗

(1軍)打率2割9厘、OPS=0・536

(2軍)打率3割1分3厘、OPS=0・848

◆古市尊

(1軍)打率1割7分1厘、OPS=0・398

(2軍)打率2割8分6厘、OPS=0・753

基本的にはだいたいこれくらいの数値差が出る。以下3人に関しては、今季は1軍と2軍の成績差が比較的少ないとはいえる。

■蛭間拓哉

(1軍)打率2割6分5厘、OPS=0・645

(2軍)打率2割9分8厘、OPS=0・827

■渡部健人

(1軍)打率2割4分4厘、OPS=0・722

(2軍)打率2割5分0厘、OPS=0・794

■岸潤一郎

(1軍)打率2割9厘、OPS=0・580

(2軍)打率2割4分1厘、OPS=0・705

1軍と2軍の差。「投手の球のキレが違う。2軍より投げミスが少ない」とはよく選手にも聞く。

別の観点として、長谷川が以下のように話したことがある。前述の通り、2軍では抜群の成績を残している長谷川は、1軍では打率が1割近く、OPSは0・3ほど低くなる。

「やっぱり、1軍は勝つために野球やってるんで。2軍では成績を残さないと1軍上がれないと思うんですけど、1軍はチームが勝てばいいので。そこが違うかなと思います」

アウトになるにしても、走者を進めること。球数を多く投げさせて、チーム全体として1点でも多く奪うこと。それが勝利や1つでも上の順位につながり、営利企業でもある球団の体質強化につながる-。

1軍が苦戦を強いられ続けた。もともとオリックスやソフトバンクをはじめとした他球団ほど、選手層は厚くなかった。ただ、若手が2軍でしっかり数字を残し、1軍でもがきながらも食らいつく。現場は与えられたミッションを一歩一歩遂行している。常勝軍団は1カ月、1年ではどうやっても作られない。

なんであの選手が1軍に上がらないんだろう-。

事情はその時々で違う。確かなことは、1軍首脳陣はしっかり2軍選手たちの現状をチェックしている。

2軍だけじゃない。目は3軍にまで届く。1軍の松井稼頭央監督(47)に、とある3軍選手のことを尋ねたことがある。すぐさまこう返ってきた。

「あいつ、こないだ頭に(死球)当たったからね。確か昨日から練習に復活したんかな?」

恥ずかしながら頭部死球のことは知らなかった。数時間前、確かに松井監督の言う“あいつ”は元気に、室内練習場で軽めのノックを受けていた。【西武担当=金子真仁】