結果的にマツダスタジアム最終戦となった15日のCSファーストステージ第2戦後、新井貴浩監督(46)はセレモニーで1人の選手をマイクの前に立たせた。今季勝ちパターンでただ1人、フルシーズン完走した島内颯太郎投手(27)を呼び寄せた。
「私のあいさつの前に、選手を代表して、今日もナイスピッチングでした。最優秀中継ぎ投手、島内より皆さまに一言御礼を申し上げます」。突然のむちゃぶりにチームメートからも笑いが漏れる中、「本日は応援ありがとうございました。しっかりと甲子園でも勝って、マツダスタジアムに帰ってきます。応援よろしくお願いします」と、しっかりとした口調であいさつ。大きな拍手を受けた。
シーズン終盤、新井監督は島内の成長について、笑顔で言った。「島内、いいね。あのデザインパーマが、ね。最近ではデザインパーマをイジってもドーンッとしているからね。最初の頃はこっちがイジってもじもじしていたんだけどね」。投球ではない成長にも、投手としての成長につながる一端があった。
昨季までは制球面と精神面が課題とされていたが、今季はマウンド上での迷いが消えた。きっかけは新井監督の言葉だった。「昨年の秋季キャンプから新井さんには“腕を振って、打たれても責任は俺が取るから”と言ってもらった。(マウンド上で)いろいろ考えず、やるべきことが明確になった」。信頼は言葉だけではない。失点する登板があったても、次回も同じようなシチュエーションで起用された。無言のメッセージもまた、自信につながった。
また、試合前後は愛のあるいじりで度胸を付けられた。開幕当初はまだ“新井さん”との距離感をつかめず、苦笑いを返すのがやっと。だが、登板とイジられる回数を重ね、投げては打者を圧倒し、監督からのいじりにも鋭く返せるようになっていった。
超満員のマツダスタジアムで堂々とあいさつした島内に、笑顔の新井監督は1年での大きな成長を感じていたに違いない。【広島担当 前原淳】




