“今江監督”として福島・いわき市に帰ってきた。楽天今江敏晃監督(40)が16日、同市内で野球教室を開催。地元の小学6年生41人を指導した。東日本大震災が発生した11年にロッテの選手として被災地支援で訪れて以来、同市へは11度目の訪問。指揮官の立場で足を運ぶのは初めてだった。

「こうして毎年、いわきに来させてもらって、いわきの方たちと本当に1年に1回ですけど、お会いできて、僕自身もすごくフレッシュな気持ちというか、リフレッシュした気持ちで『帰ってきたな』という感じがしますね」

ロッテ在籍時から“今江スマイルプロジェクト”として社会貢献活動を大切にしてきた。障害者野球チームと交流したり、毎年オフにこども病院や児童養護施設を訪問。それらの活動を協力してもらっていたロッテ球団職員の実家がいわき市で、東日本大震災で被災したという。

震災直後に「そこに行きましょう」と、いわき訪問が始まった。「いろんなご縁で今も続けています」。すべての活動に共通するのは「単発」ではなく「継続」を掲げている点。仮に野球界を離れることがあっても、活動を終わらせるつもりはない。

来年3月11日で震災から13年を迎えるが、現在の小学生は11年4月2日以降に生まれており、震災を直接経験していない世代だ。だからこそ野球教室で野球の楽しさを伝えるのはもちろんだが、自身が訪れることで震災を考えるきっかけになってほしいという思いがある。

「もともとは震災を機に僕もいわきに越させていただいた。僕がここに来ることで『なぜ来ているのか』というのを子どもたちが不思議がって、親に話を聞いて、それで『こういうことがあったんだよ』って震災に対して風化させたくないという気持ちがあるので。僕が来るのはそういう意味かなと思います」

震災の記憶を後世に伝えたい-。それが今江監督の願いだ。【楽天担当 山田愛斗】

16日、野球教室で子どもたちに打撃指導する楽天今江監督
16日、野球教室で子どもたちに打撃指導する楽天今江監督