虎の4年目コンビが、今年も「宿命のライバル」に挑む。20年ドラフト1位の佐藤輝明内野手(24)と、同6位の中野拓夢内野手(27)には、避けては通れぬ難敵がいる。DeNAのスラッガー、牧秀悟内野手(25)だ。阪神の2人と同じ20年ドラフトで2位入団したハマの主砲が、通算記録争いで立ちはだかっている。

まずは佐藤輝。入団以来3年間で、68本塁打を積み重ねてきた。新人年から3年連続20本塁打以上の左打者は、NPB唯一である。プロ入り3年間の本塁打数では、プロ野球12位に該当する。

ところが牧はここまで、75本塁打と上を行っている。これはNPB6位タイで、佐藤輝を7本上回る。1年目から3年連続20本塁打も佐藤輝と同じで、昨季はリーグ3位の29本塁打と力をつけてきた。

安打数に目を移すと、牧は中野のライバルだ。プロ入りから3年間の安打数で、2人は競り合っている。牧の465安打はNPB3位で、中野の448安打は8位。ともに今季は、4年目までの最多である近本光司(阪神)の630安打に挑む。牧はあと165安打で、中野は182安打だ。

牧と中野は昨季そろって164安打を放ち、最多安打のタイトルを分け合った。2人とも昨季の安打数がプロ入り後の自己最多。牧はほんの少し増やせば近本に届く。一方の中野は昨季を上回るハイペースでないと、牧に先輩の持つ記録を先に破られてしまう。

ところで阪神の投手陣には、2人の「後方支援」を頼みたい。牧の阪神戦通算打率3割1分6厘は、対セ球団最高だ。通算被安打数で見ると、青柳の19安打は最多で、伊藤将の13被安打はワースト2位タイだ。青柳は被打率4割6分3厘と大苦戦。佐藤輝、中野と同期で2位入団の伊藤将も、被打率3割1分7厘と苦手としている。ソフトバンクから加入しブレークした大竹も、昨季2本塁打を許してしまった。

長距離砲の佐藤輝と、ヒットメーカーの中野。持ち味は対照的ながら、同じライバルと争っている。キャンプでは、牧に追いつき追い越せの心意気で腕を磨いてほしい。

【記録室=高野勲】(22年3月のテレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)

黄色のマスコットバットを手にする中野(撮影・藤尾明華)
黄色のマスコットバットを手にする中野(撮影・藤尾明華)