阪神高橋遥人投手(28)が、11日の広島戦(京セラドーム大阪)で、1025日ぶりとなる復活の白星を挙げた。同戦後、岡田彰布監督(66)は、試合前の裏話を明かしていた。
「ブルペンでな、見とったんや、隠れて(笑い)。俺が行ったら余計緊張したらあかんから。分からんように見とったんやけど」
1009日ぶりの1軍登板となる左腕の緊張ぶりを感じ取っていた岡田監督。こっそり見ていた試合前のブルペンで「大体、梅野が構えたとこに行っとったし、ブルペンから。なんとか投げてくれるんちゃうかなと思ってたけどね、おーん」と好投の予感があった。
そしてもう1つ。試合直前に岡田監督は、高橋とバッテリーを組む梅野の2人を自身のもとに呼んだ。「とにかく勝ち負けとか関係なしで、自分のいま持っているボールを投げろ」。高橋の背中を押すように、そう託したという。「おーん、そうそうそう。そんなの勝ち負けなんか関係ないから言うて、そら負けてるから今日は絶対勝たなあかんとか、そんなん全然関係ないから。それを言うた、呼んで、梅野と」。
そう言えば昨年も、同様のことがあった。23年7月11日、この日の先発は1カ月半ぶりのマウンドとなった青柳晃洋投手(29)だった。「あまりにもなんかこう、切羽詰まったじゃないけど、きょうの登板をね、気にしてるようだったから」と右腕の試合前の様子についてこう話していた。
「『そんなん関係ない』って言うたんよね。試合前に。『今日どんなピッチングしようがお前、後半戦はね、ローテーションで投げなアカンわけやからって。楽にいけ』と」。その言葉のおかげもあってか青柳は7回2失点と好投し、白星を手にした。
選手の普段と異なる様子を見抜き、的確な一言をかける。経験豊富な指揮官が持つ眼力と言葉の力だ。大きな1勝につながる「魔法の言葉」を、残り36試合で再び聞きたい。【阪神担当=磯綾乃】




