阪神湯浅京己投手(25)が更新したSNSにグッとくるものがあった。25日に「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化切除術」を受けて退院したことを発表。その日のうちに自身のインスタグラムも更新し、「必ず甲子園のマウンドに戻ります!」と決意をつづった。投稿にはリハビリの写真とともに音楽を添付。今季の登場曲にも使用していた「ODYSSEY」(Novelbright)だった。自身に重なる部分が多い思いがこもった楽曲だった。

毎年、登場曲には自分の心境に合った曲を選曲する。今季から使用する「ODYSSEY」はリリースされてからすぐ登場曲に選んだという。試合前にも聴いて自分を高めた曲。それくらい自分自身とマッチする部分が多かった。

「ノーベルブライトの曲は自分の心境に当てはめられることが多いんですよ」 そう教えてくれたのは4月上旬のことだった。当時の湯浅は体調不良から復帰し、実戦復帰を目指していた段階。しかし、まだ病気の存在も分かっていなかったとみられる中、「全然、何やっても力が入らない」ともがいていた時期だった。いつも前向きな湯浅だが「しんどいなぁ…」とポツリと漏らしたこともあった。苦しむ状況の中で歌詞について語っていた一言が今も印象に残っている。

「『HP(ヒットポイント)ゼロからの大逆転を見に行こう』とか、自分ですよね」

楽曲のサビで使われている歌詞の一部だった。プロ入り後に3度の腰椎分離症を乗り越え、昨季は右前腕や左脇腹の筋挫傷から日本シリーズで復活救援に成功。何度も苦難を乗り越えてきた男の完全復活への決意が詰まっているようにも思えた。

8月27日、手術を終えた湯浅は鳴尾浜に戻ってきた。室内で取材に応じ、後半はイスに座りながらのインタビュー。大勢の記者に囲まれながらも、上げられた目線はとても力強かった。

「何もできないので。どうしてもできないので。その分来年、チームに貢献したい思いは強いです」

強い決意を胸に現在はリハビリに励む。思いを込めた登場曲のように、完全復活を果たす日が楽しみだ。【阪神担当=波部俊之介】

阪神湯浅京己のインスタグラムから
阪神湯浅京己のインスタグラムから