宮崎に暖かい春の光が戻ってきた。

ソフトバンク春季キャンプ第3クール最終日。王球団会長はグラウンドに置かれたパイプ椅子に座って選手たちの動きを見つめた。

「我々の世界はね。一般の人たちの1日が3日分だからね。時間がないんだよね。40歳まで現役をやれる人はそうそういないんだから」。そう言って取り囲んでいた報道陣にプロ野球現役選手の平均実働年数を尋ねた。統計的には6年~9年程度。それでも3年以内の戦力外は4割ほどの数字がある。一般社会では60歳を過ぎても現役を続けられるが、プロ野球ではそうはいかない。データを知らされた王会長は、さらに納得したように何度もうなずいた。

限られた時間の中で、いかに自らを高めてグラウンドで躍動できるか。現役時代、求道者のようにバットを振り続けてきた王会長は身をもって知っている。「僕が入団したころも、辞めていった先輩が『もっとやっとけばよかった』なんて言っていたしね」。数々の偉業を成し遂げた王会長ですら、入団当初は常に危機感と背中合わせ。そんな思いも述懐しながら若鷹たちに目をやった。

成長の手助けにという思いは自然と高まる。前日(11日)には午後8時から宿舎でA組の若手野手10人を集めてミーティングを開いた。「とにかく若い人たちには自分の長所を伸ばす意識を持て、とね。欠点というのはなかなか直らないんだよ。長所を伸ばすのは、小さくじゃなくて、大きくやろうやとね」。今クールだけの宮崎滞在だっただけに、王会長も何とかスケジュールを作って選手たちに熱く語りかけた。

キャンプインから約2週間がたった。鍛錬の日々も折り返しにさしかかった。「まだ」と思うか「もう」と思うか。「時間」に対する観念が変われば、若鷹たちの姿勢もおのずと変化していくはずだ。【ソフトバンク担当=佐竹英治】

秋広(左)にアドバイスをするソフトバンク王球団会長(撮影・岩下翔太)
秋広(左)にアドバイスをするソフトバンク王球団会長(撮影・岩下翔太)
秋広(左)にアドバイスをするソフトバンク王球団会長(撮影・岩下翔太)
秋広(左)にアドバイスをするソフトバンク王球団会長(撮影・岩下翔太)
笑顔で球場入りするソフトバンク王球団会長(26年2月11日撮影)
笑顔で球場入りするソフトバンク王球団会長(26年2月11日撮影)