Aクラスへのあと1勝。夏場以降まったく勝てなくなった西武との差…今季のロッテには何が足りなかったのだろう。答えを探しに、フェニックスリーグが行われている宮崎へ来た。

目的の人物は、サブグラウンドで若手の投手陣が練習に励む姿を笑顔で見ていた。吉井理人投手コーチ(54)だ。単刀直入、西武に苦戦した理由を尋ねた。「駆け出しの子たちばっかりだったので、西武には、打たれる覚悟でいっている。超一流のバッターがそろってるチームに、その試合だけ力んでも何も変わらないので。特に何も言ってませんね」と言われ拍子抜けした。

答えが見つからないな、と思っていると、続けた。

吉井コーチ 西武の選手は、1ストライクからガツンとフルスイングできる。自分も簡単に「早く追い込め」と言うんだけど、1ストライクを取るのが一番難しい。簡単に入れにいけない。だからといって、決め球を(初球に)投げちゃうと、決めにいくときに投げる球がなくなる。だからアウトローのコントロール。一番遠くへ飛ばないし、打ちづらいところ。今、取り組んでいるけど、そこに投げるのが一番、難しい。

投手心理をもとに山賊打線の強力さを解説した。確かに、勝率5割で臨んで敗れ、今季のターニングポイントとして挙げた7月16日の西武戦では、初回先頭の秋山から2回の7番栗山まで全員が、ファーストストライクを振ってきた。

迷いなく振った結果か、その間にあった2度の併殺ピンチでも、鋭い打球は野手の正面を突かず、ともに打者走者が生き残って攻撃が継続した。当てにいった打球が正面を突き、2度の併殺を許したロッテと対照的だった。

フェニックスリーグでは、捕手の配球に制限を設けているという。第3クールではインコースに徹底して投げることを求めた。極めて細い逃げ道しかない局面を、どう打開していくか。技術を上げるしか選択肢はない。

吉井コーチ 昔は投手がお山の大将だったが、今のピッチャーは何も分からず捕手のサインにうなずいて投げている子が多い。それでは成長はない。何か気づきながらやってほしい。それで結果を出せない子もいるが「このタイミングでこのコースに投げるのが嫌だな」と気づくのも収穫なんです。

あと1勝を勝ち切るにも、西武を上回るにも、根本の力をもっと、うんと上げなくてはいけない。吉井コーチは大局の視点でロッテの現状を捉え、答えている。「あと1勝というより、よく3位争いをできたと思う」という言葉が出てきた。(つづく)【久永壮真】