開幕前、順位予想では3位にしていたのが西武です。もちろんリーグ連覇した実力はあるとは考えていましたが、西武の課題である投手力には改善の余地があるとずっと感じていました。現在Bクラスに沈んでいますが、投打の現状の力を客観的に見ると、致し方ないかなという感じです。

2日、ロッテ戦の5回を無失点に抑えガッツポーズする西武内海
2日、ロッテ戦の5回を無失点に抑えガッツポーズする西武内海

チームの大きな特徴だった強打がまったくもって鳴りをひそめてしまい、かつ課題だった投手陣は例年にもまして悪いんですから。そりゃ、いくら西武といえども、苦しむのも無理はないですよね。

西武といえば、10点取られたら11点取ってねじ伏せる、山賊打線と言われる超攻撃型のチームですが、今季はチーム打率2割4分9厘、本塁打69本、盗塁46はいずれもリーグ3位。2ケタ本塁打は山川だけで、規定打席到達で3割バッターは0という寂しさです。

これは、何よりも秋山が抜けたマイナス面をカバーしきれなかったことが響いていると言えます。期待された金子がケガをしたことも大きかったです。さらに、昨年首位打者の森の不調があります。3月、4月の混乱で調整がうまくいかなかったのだと思います。昨年は3割2分9厘(首位打者)、23本塁打、105打点の森が、2割5分2厘、6本塁打、22打点です。苦しいシーズンを送っているのが端的に表れています。

投手力についてはチーム防御率4・36はリーグ最下位。貯金ができている先発陣が0。平井、平良、ギャレット、増田という力のある中継ぎ、セットアッパー、抑えがいながら、ここにつなげないもどかしさがあります。強打打線が貧打に苦しみ、投手力も弱い。その結果として、得点307に対し失点304。西武の打力からはあり得ないチーム成績です。

残り52試合。もう、総力戦で戦い、そこで大型連勝をもくろむしかCS争いに食い込む道はないと思います。その救世主になりうるのが内海です。ロッテ戦で移籍後初勝利がつきましたが、その前回の移籍後初登板、初先発したオリックス戦も内容は良かったので、今後にも期待は持てます。内海を先発陣の軸として、投打がうまくかみ合うのを目指し、西武はやるしかないですね。(つづく)

里崎智也氏
里崎智也氏

◆YouTuber里崎氏の「里崎チャンネル」(登録数約35万人=6日現在)は、試合の解説だけでなく「12球団スカウト編成能力チェック」も取り上げ、西武の突出した能力を分析している。