名伯楽で知られる小谷正勝氏(75)が、投手コーチ時代の教え子のDeNA三浦大輔新監督(47)と対談した。第2回は三浦監督の目指す野球。(敬称略)【取材・構成=久保賢吾】
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小谷 野球は点取りゲームだから、どう取って、どう防ぐかだけど、20年のDeNAは打線のチームだった。どういう野球を目指していく?
三浦 オーソドックスな野球ですね。打線はソト、オースティンの外国人2人に、20年は佐野が軸でやってくれた。そのつなぎをどうしていくかです。
小谷 投手力のチームにするのか、守りのチームを作るのか、攻撃のチームを作るのか。俺は野球は投手力だと思うね。
三浦 はい。大事になるのはセンターラインだと思うんです。どうしっかり固められるか。現状、ソトは一塁で考えています。
小谷 センターは梶谷が抜けた。誰が取るのか。
三浦 神里、乙坂、桑原、関根、細川とか、候補はたくさんいます。現状では左翼に佐野、右翼にオースティンなので守備範囲の広さは重視したい部分です。
小谷 巨人のV9時代の川上監督がそうだった。守りを第一主義、センターラインだよな。
三浦 打ち勝つ試合が年間何試合できるか。やっぱり、しっかり守れる。ゲッツーを取れる時に確実に取ったり、無駄な失点は与えないように。
小谷 ピッチャーは確実に取れるやつを取れなかったら、ガクッとくる。ノーアウト満塁で点を取れなかったら、ガクッとくるのと一緒だな。
三浦 いかにホームベースを踏むかだと思います。ピッチャーは粘り強く、10安打打たれようがホームベースを踏ませなければ。粘りが大事ですね。
小谷 小差のゲームを勝てば、チームは間違いなく強くなる。選手に力がついてくる。
三浦 よく言ってたのは4割は負けるし、4割は自然と勝つ。残り2割の接戦を、どうものにするか。優勝するチームでも40%は負けるんで、残りの20%をどうものにしていくかです。
小谷 143試合として、100敗しても40勝はできる。誤解を恐れずに言えば、いかに上手に負けられるか。何勝したら優勝かを意識しながら、戦っていく。投手で言えば、大貫はいい投手だな。先発投手のプランはどう描く?
三浦 今永、東がケガから復帰してきますが、無理はさせないように間隔を空けながら、1年間投げてもらいたいです。
小谷 苦労して勝ったら、1回飛ばすとかね。何で故障が出るのかを考えてやらんと。
三浦 力任せになるとその時だけ良くても、1年間持たなくなってしまいますからね。
小谷 投手は軸の移動と下半身の粘りとねじり。そこら辺のところを間違ったら力みが生じる。それが下半身から上半身にいって、回転だよな。(つづく)
◆小谷正勝(こたに・ただかつ)1945年(昭20)兵庫・明石市生まれ。国学院大から67年ドラフト1位で大洋入団。通算24勝27敗6セーブ、防御率3・07。79年から投手コーチ業に専念。11年まで在京セ・リーグ3球団でコーチ、13年からロッテ。17年から19年まで再び巨人でコーチを務めた。