<センバツ高校野球:東海大菅生4-3聖カタリナ学園>◇24日◇1回戦

プロ野球に40年以上携わってきた田村藤夫氏(日刊スポーツ評論家)は、東海大菅生の2年生捕手・福原聖矢に注目した。まだまだ課題は目立つが、随所に将来性の高さを感じさせる。

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こういう捕手はいい部分と課題が両方見ることができて、観察する側としては楽しい選手だ。福原は2年生で背番号「2」をつけている。U15(15歳以下)日本代表にも選ばれており、試合の場数を踏んでいるのは見ていて伝わってくる。

まず、リード面で緩急をつけた部分が光った。今はカット、ツーシーム、スライダーが主流の中で、先発の鈴木泰や2番手松永のカーブを使いながら、緩急で打ち取っていた。初球カーブでカウントを取り、ストライク先行で主導権を握ったり、カーブを意識させながら勝負球でストレートを使い詰まらせる。クレバーなリードだった。

7回にはパスボール、9回には暴投を止められず失点している。7回のパスボールは捕球体勢を見る限りでは、両膝をついて止めにいく様子がうかがえたことから、チェンジアップのサインに対しストレートが来たと想像できる。9回の暴投は絶対に止めないといけない場面であごが上がってしまい、そのためミットが地面から浮いてしまった。

これを直すには、練習から最後までボールを見ることを徹底することだ。基本的なことだが、ボールを目で追うようにすれば、自然と目線は下がり、あごは上がらない。直さなければ、この日のように大事な場面で苦しむ。

5回の第3打席では二塁打を放つも、中継プレーの乱れに乗じて三塁を狙いアウトになっている。守備が乱れたと判断し、ミスに付け込む姿勢はいい。ただし、状況判断はどうだったか。無死二塁で攻撃できるところで、無理をして三塁を狙った判断を、もう1度考えてもらいたい。無理をする場面ではない。ミスに付け込む観察力と決断力、ここに試合状況をよく理解した上での判断力が求められる。

捕球してから素早く投手に返球する姿は、テンポを大事にする意図を感じる。ここでも、走者がいる時はしっかり立ち上がって、丁寧に返球するなど、状況に応じたプレーをこころがけてほしい。

配球に意図を感じるところ、機敏な動き、足の速さなど、非常に楽しみな捕手だ。今後、肩の強さ、送球の速さと正確さなど、さらにいろんな場面でのプレーを見てみたい。

◆田村藤夫(たむら・ふじお)1959年(昭34)10月24日生まれ、千葉県習志野市出身。関東第一から77年ドラフト6位で日本ハム入団。ロッテ-ダイエーを経て98年引退。引退後も99年から21年間、ソフトバンク、日本ハム、中日などのバッテリーコーチなど務めプロ野球界に携わった。