裏方として支える。ヤクルト大村孟捕手(30)は、ブルペン捕手と若手育成の補佐として、新たなスタートを切る。戦力外を言い渡されたと同時に、裏方への転身を打診された。迷いもあった。背中を押してくれたのは、ずっと面倒を見てくれた雄平だった。「雄平さんから『せっかく残れるなら残った方がいいんじゃない』と言われた」と振り返る。

19年7月、広島戦でソロ本塁打を放つ大村
19年7月、広島戦でソロ本塁打を放つ大村

そんな先輩も今季限りで現役を引退。「雄平さんと同じタイミングというのも縁なのかな」と少し寂しげに話した。毎年“雄平組”として自主トレも一緒に行ってきた間柄。ストイックに練習に励む雄平の姿をいつも間近で見てきた。「長い時間を一緒に過ごさせてもらって、これぐらい練習しないとダメなんだなとすごく勉強になりました」。

ヤクルト大村の年度別成績
ヤクルト大村の年度別成績

16年育成1位でヤクルトに入団。支配下登録を勝ち取ったが、1軍出場は14試合のみ。15打席で2安打1本塁打1打点だった。悔しい経験、先輩の貪欲さから感じたことを若手に還元していく。「高校、大学、社会人、独立、育成から支配下。僕って全部経験してるんですよ。若い子たちは知らない部分もあると思う。普通の社会はこういうんじゃないんだよと、ここは特別なんだよというのを教えてあげられたら」といたずらっぽく笑った。

ブルペン捕手として投手に気持ちよく投げてもらうことを心がけながら、育成の補佐として、若手の相談にも乗っていく。来季からは現役時代とは違った生活となる。「今度は戦力としてではなくて、裏方からサポートしていく側。今年みたいに強いチームを作り続けられるようにサポートできれば」と意気込んだ。新たな責任感を持ちながら、新たな1歩を踏み出す。【湯本勝大】(この項おわり)

21年ヤクルト退団選手
21年ヤクルト退団選手