完全試合を達成したロッテ佐々木朗希投手(20)を多角的に掘る。題して「朗希を○○しよう」。第1回は日米で活躍したフォークボールの第一人者、佐々木主浩氏(日刊スポーツ評論家)が、朗希の投球の約3割を占めるフォークを分析した。「朗希を挟もう」で絶対的球種に迫る。

 ◇  ◇  ◇

佐々木朗のフォークボールの特徴は、投げる際に指をボールの縫い目に掛けていることだ。これは現役時代の私と同じだ。こうするとボールに回転がかかるため、打者からは真っすぐに見える。日本のプロの打者は非常に目がいいが、それでも直球だと思って振り出しているはずだ。縫い目に指を掛けないと、回転がかからない。プロの打者は、無回転の球は分かる。フォークと分かれば振るのを止める。

今年は左打者のインコースに入る直球が、非常にいいと感じている。角度も切れもあって、完璧だと感じる球も多い。見逃しストライクも空振りも取れている。このゾーンに直球が決まることで、同じところから落ちるフォークも生きる。腕の振りが非常に速いので、真っすぐと見分けづらいだけでなく、フォークもよく落ちる。直球あってのフォークというのは、いつの時代も同じだ。

フォークがスライダー系、シュート系と、落ちる方向が2種類になっている。私は現役時代、握りを変えることによって両者を使い分けていた。佐々木朗は全部同じ握りのように見えるので、力の入れ具合で変化の方向が変わっているのだろう。

フォークはしっかり握らないといけない。かなりの割合でフォークを投げるので、肘の負担は心配だ。メジャーリーグで落ちる球としてチェンジアップが主流なのは、この負担を避けるためだ。少しでも負担を軽減するには、無理なく握れるように、普段から握力と指の力を鍛えていくしかない。

完全試合と8回完全と2試合であれだけの結果を出したが、まだ体力的に弱い部分を露呈している。20歳だからといって、プロに年齢は関係ない。将来的にメジャーに挑戦するなら、中4日でローテーションを回る必要にも迫られる。分かっているとは思うが、今後もフォークを投げていくのならば、リスクは背負わないといけない。そのためにもしっかり練習量を確保して、強靱(きょうじん)な肉体を身に付ける必要がある。逸材だけに成長が楽しみだ。

佐々木朗希のフォーク投球フォーム
佐々木朗希のフォーク投球フォーム
佐々木主浩氏のフォーク投球フォーム(05年撮影)
佐々木主浩氏のフォーク投球フォーム(05年撮影)