WBCに挑む侍ジャパンのメンバー30人が決定した。連載「侍の宝刀」で、30人の選手が持つ武器やストロングポイントにスポットを当てる。

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マイペースに世界の頂点を目指す。巨人大城卓三捕手(30)がプロ入り後初めて日の丸を背負う。沖縄生まれのうちなんちゅ。中学時代のクラブチームでは、今大会で同僚となった西武山川の1学年後輩で同じチームに所属していた。大事にしている言葉の1つは「なんくるないさー」。自分のペースで沖縄の波のようにおおらかに成長してきた。

緊張感の高まる大舞台では、いかに「いつも通り」のプレーができるかが重要になる。その点では東海大相模、東海大、巨人と直系の先輩でもある原監督も沖縄弁を交えてこう表現する。21年8月24日の広島戦(東京ドーム)、2打席連発アーチを決めた大城に「すごく大きな潜在能力を持った選手」と認めた上で続けた。「そうじゃなく見えるところが彼流。常に『なんくるないさ』という感じで野球に取り組んでいるのが、時に強さに見えて、時に欲のなさに見える」と評した。緊迫する場面でも動じない強さはナインに気持ちの余裕を生み出す。

打撃力を評価され、攻撃型捕手として選出された。昨季は115試合で打率2割6分6厘でキャリアハイとなる13本塁打を放った。パンチ力のある打撃は武器になる。13本塁打中、9本塁打を放った好相性の本拠地・東京ドーム慣れしている点もプラスに働く。

176センチの中村、170センチの甲斐と比べて187センチと大きく、大城相手にブルペン投球した侍ジャパンのDeNA今永からは「めちゃめちゃ投げやすいです。構えも大きいですし、身体も大きいですし、フレーミングも上手ですし、テレビで見ていたキャッチング」と守備面を絶賛された。21年にはリーグトップの盗塁阻止率4割4分7厘をマークして強肩ぶりをアピール。打てる捕手としての攻撃力だけでなく、守備力にもますます磨きがかかっている。

昨年12月の自主トレでは巨人のエース菅野に同行して米ハワイで体を動かした。国際試合の経験が豊富な阿部ヘッド兼バッテリーコーチからは「すごいところ。震えるぞ」と送り出された。09年WBCで世界一を経験している亀井打撃コーチからも「本当にすごいところ。良い経験になる」と言葉を授かった。「世界一なりたいですし、世界一をしっかりとって日本に帰ってこれるように、チーム一丸となって頑張っていきたい」。なんくるないさー精神で、世界一をつかみ取る。【小早川宗一郎】

キャッチボールを終えてダルビッシュと握手をする大城(左)(23年2月16日撮影)
キャッチボールを終えてダルビッシュと握手をする大城(左)(23年2月16日撮影)