日刊スポーツは今年も全国のドラフト候補を追いかける。東都大学リーグの投手7人がドラフト1位指名された昨年から一転、24年のドラフト戦線は明大・宗山塁内野手(3年=広陵)が群を抜く遊撃守備と巧打を看板に、1位競合必至の存在になる。投手では関大の最速153キロ左腕、金丸夢斗投手(3年=神港橘)が早くも熱視線を集める。

ドラフトファイル:宗山塁
ドラフトファイル:宗山塁

西武源田壮亮内野手(30)は、6年連続でゴールデングラブ賞を獲得した、現役最強の遊撃手だ。その名手も、宗山を知っている。

「YouTubeで見たことありますよ。宗山君、うまいっすよね。いや、そんな熱心に見入ったまではないですけど、身のこなしがすごくいいですね」

宗山にそれを伝えた。

「びっくりします。知っていただいているなんて思っていなかったので」

身のこなし。源田がそう言うように、守備中のボディーバランスの良さを評価する声は多い。

「ショートは特に悪い体勢になることが多いので。そういうところからアウトにできるのには少しは自信はありますね」

23年9月、早大戦で好守を見せる明大・宗山
23年9月、早大戦で好守を見せる明大・宗山

とりわけ二遊間のゴロ対応はプロ関係者もうなる。打撃の良さも含め、即戦力遊撃手としては「鳥谷以来では」ともいわれる。

広陵(広島)時代は粗さも指摘された守備が、明大で落ち着いた。「うまい人の意見を聞いたり。映像もいろいろ見れますし、いいものを吸収して自分なりにやってきて」と歩みを振り返る。

どうやったら守備がうまくなりますか-。そう聞かれることも増えた。例えば小学生に聞かれたら。

「小学生はほんと、壁当てをやってほしいですね。自分は父に跳ね返るネットを買ってもらって、それにずっと投げてて。ネットが狭くて、当たらないと走って奥まで取りに行かないといけないんですよ」

中学生に聞かれたら。

「思ったことができるようになってくる年代だと思うので、その時期にうまい選手を見ることを増やしてほしいなと思います」

高校生や大学生の後輩には。

「日々のノックをなんとなくやるんじゃなくて、自分にはまるポイントを探して、それぞれいいものを取り入れてくれれば。自分でつかみにいかないと、ものにできないので」

ではプロ入りしたら、先輩に何を聞きたいか。

「1年間守れる守備を。1試合だけならけっこう誰でもできちゃうと思うんですけど、グラウンドも違いますし、1年間守り続けるためには普段のノックとかどういう意識なのかなというのは気になりますね」

周辺視野の広さや意識の高さも含め早くも「獲得できたチームはショートが10年安泰」と評されるスター候補だ。「もちろん上位、1位で行きたいですし、競合するくらいの選手になっていきたいです」。宗山、宗山…と何度呼ばれるか。24年ドラフトの中心で華麗に舞う。【金子真仁】

12球団の正遊撃手
12球団の正遊撃手

<主な大物遊撃手>

◆大橋穣(亜大→68年東映)亜大では東都リーグ歴代2位の通算20本塁打。プロでは7年連続ダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)。

◆山下大輔(慶大→73年大洋)入札制ではなかった当時のドラフトで、12球団の全体1番目に指名された「慶応のプリンス」。シピン、ボイヤーらと豪華内野陣を組み8年連続ダイヤモンドグラブ賞。

◆石毛宏典(プリンスホテル→80年西武)中尾孝義、金森栄治らとプリンスホテルの中心となり、阪急との競合抽選で西武入団。1年目に規定打席到達の打率3割超えで新人王。

◆立浪和義(PL学園→87年中日)甲子園春夏連覇の主将。中日1年目でいきなりレギュラー。高卒新人初のゴールデングラブ賞でリーグVに貢献。

◆野村謙二郎(駒大→88年広島)ソウル五輪代表。東都でベストナイン4度。プロではトリプルスリー、通算2000安打達成。

◆井口忠仁(青学大→96年ダイエー。後に井口資仁と改名)アトランタ五輪代表。東都リーグ最多記録の通算24本塁打。94年秋3冠王。

◆鳥谷敬(早大→03年阪神)早大では1年春から正遊撃手となり、2年春に東京6大学リーグ3冠王。プロでは遊撃手でベストナイン6度。歴代2位の1939試合連続出場。

今年の主な大学生ドラフト候補
今年の主な大学生ドラフト候補