セ・リーグは広島が2連覇を決めた。野球評論家の西本聖氏に広島の強さの理由を聞いた。

 -開幕前の予想は2位だった

 西本氏 連覇というのは簡単にできるものではないし、大黒柱の黒田が抜けた。さらに巨人があれだけの大補強をした。今季は厳しいだろうと2位にした。

 -それでもふたを開けたら巨人の調子が上がらず結果的には独走した

 西本氏 黒田が抜けてもエースのジョンソンが出遅れてもその穴を埋める若手投手がしっかり出てきた。薮田、岡田らがしっかり育ってきた印象。野手にしても鈴木誠也が故障で離脱しても松山が4番の穴をしっかりと埋めた。層の厚さというものをものすごく感じた。しっかりとしたチーム作りができているから、3連覇、4連覇という可能性もあるかもしれない。

 -広島のゲームを見て感じることは

 西本氏 「野球をやっているな」と感じる。勝つためには頭を使わないといけない。ただ打って、投げて、捕るだけでは勝てない。状況に応じた野球がしっかりできているなと思う。

 -具体的な場面は

 西本氏 14日のDeNA戦。4-4の8回表に無死満塁の大ピンチがあった。こういう場面でどうするか。投手は低めに投げてゴロを打たせるか、三振を取らないといけない。結果、二ゴロ、三振、遊直で無失点で切り抜けた。去年は菊池、田中の二遊間など高い守備力で失点を防いだイメージが強かったが、今季はさらに頭を使った野球ができているなと感じる。そこには去年の日本シリーズで日本ハムに敗れた悔しさがあると思う。

 -緒方監督の采配について

 西本氏 野球は7~8割が投手。そういう意味で先発投手に1イニングでも長くというのを感じた。投手というのは負けの中で得るものがある。次の登板につながることがある。先発が少しでも長く投げれば中継ぎ陣を休めさせることもできる。1年間の長い戦いの中で先発投手を育てるという緒方監督の意図というものが伝わってきた。