横浜スタジアムで予定されていた阪神とDeNAの3戦目は台風10号の影響で中止になりました。その1戦目、27日のこと。試合前、DeNAの一塁側ベンチに顔を出しました。旧知の石井琢朗氏にあいさつするためです。現在はDeNAのチーフ打撃兼走塁兼一塁ベースコーチの石井氏。
「元気ですかい?」と話しかけると「おっ。ちょっと待ってて」と言ってロッカーに引っ込みます。何だろうと思っていると「これ!」と言って1冊の本を手渡してきました。
「プロフェッショナル 打撃 解体新書」(株式会社KANZEN)。確認するまでもない、著者は石井コーチその人です。「今度出したんで。野球の記事を書いてるんだったら読んでみてくださいよ」。
ははあ。宣伝しろ、いうことですな…。そう答えながら、思い出したのは前回の横浜遠征でした。同コーチと雑談している際、何げなく聞いた阪神森下翔太選手の打撃について熱っぽく語ったのです。
その内容は、このコラム同様に日刊スポーツのサイトで連載している「虎になれ!」で取り上げましたが、要するに「彼はレベルスイングになって安定してきた」という見立てです。阪神岡田彰布監督が言った話にも共通するもので、なるほどと思ったものです。
同コーチに限りませんが、プロは自軍はもちろん、相手のベンチ、選手についても実によく観察しています。当然、阪神の主力打者について相手もしっかり分析しているのです。
そんな現役のコーチがシーズン中に技術論を出版するのも、結構、面白いこと。野球に興味のある方は手に取っていただければ、と思いますが、パラッとめくって「これやなあ」と思った一文があります。
打てば打つほど分からなくなる、という打撃の難しさ。だからこそ、たどり着いた答えはただひとつ。それは「来た球をバシッと打つ」ことだそう。
技術を突き詰めた結果がそこなのでしょう。もちろん血のにじむような練習、試行錯誤があってのことですが、それでも答えはそれか…と思いながら、頭に浮かぶのはやはり阪神のことです。苦しんだ長期ロードも終わり、30日からは甲子園に戻ります。台風の影響は心配ですが、ここは思い切りのいい打撃でスカッとさせてほしい。「来た球をバシッと打て!」とお願いしたいものです。【編集委員・高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)




