今シーズン98試合目。DeNAを何とか封じ、カード3連勝。それでも試合後の監督、岡田彰布は怒っていた。スポーツ新聞の記事からも、怒りのほどが伝わってきた。とにかく「守り」に関しては、うるさい。だから再三ピンチを招いたこの日を「考えられへんよ、あんなん…」とバッサリ。何とかしのいだから、エエやん。こちらはそう思うが、岡田にはそんな気はさらさらない。
もちろん、窮地を救ったリリーフ陣の奮投は素晴らしかった。そんな中、見過ごされがちになりそうな「好プレー」が何度かあった。登場するのがノイジーである。まずは内野後方に落ちそうな打球に、判断よくダッシュしてスライディングキャッチ。そしてレフト線へのヒットには、最短距離で捕球し、2度も打者走者の二進を防いだ。二塁打をシングルに。これが複数失点を未然に防ぐ隠れたファインプレーになった。
ノイジーは本当に守備に自信を持っている。二塁打性の打球には、打者走者の動きを確認。あえてスキを与えるような動きで誘いをかけて、送球で仕留める…といったテクニックすら見せる。これを使う側の岡田も認めている。だから、この試合、最後までノイジーはゲームに出続け、代えのきかない選手であることを印象付けた。
ここで少し、ナマナマしい話を紹介する。長期ロードに出る直前、岡田と2人で話をする時間があった。いろいろな話題が続き、外国人選手のことに移った。まあ投手陣に関しては1試合も出ることなく契約打ち切りとなった投手もいたが、ビーズリーのように、なんとか出てきてくれ、岡田はそれなりの手ごたえはあるようだった。
問題は野手だ。その頃、補強のタイムリミットが迫っていたこともあり、「ここでバッターの緊急補強は?」と聞くと「ない、ない。そんなん、考えてないわ」と否定。ならばノイジー、ミエセスの2人で乗り切る腹を固めたことを意味するのだが「ミエちゃんな。全然悪くないよ。オレは今年より来年、とミエちゃんはすごい可能性があると思っているんよ」。まずはミエセスの将来性を語り、あくまで岡田続投を前提として、ミエセスの来季契約は十分と明かしている。
ではノイジーは? となるのだが、岡田は即答を避けた。「わからん。ホンマ、わからん選手や。来年? そんなん、わからん」。わからんだらけのノイジー、感触的には今季限りか…というものだった。
しかし、それ以降も岡田はノイジーを起用し続ける。長期ロードに入っても「6番レフト」に固定し、よほどのことがない限り、ノイジーを最後まで使い切っている。
打率は規定打席に到達しているものの、下から数えて早い2割4分台。本塁打は5本って、とても優良外国人と呼べる数字ではない。それなのに岡田はノイジーを頭から使う。そこに「ディフェンス」というキーワードがあるから。外野手としては多いここまでの失策「4」はあるが、これも攻める守備によるもの。とにかくノイジーの守備意識と力に、多くの評論家は高く評価している。
いよいよ試合数は100試合を迎える。残りはわずかになってくるし、ここからは1点の重みが、これまで以上に増してくる。守りの野球での「しのぎ勝ち」を得意にする阪神。岡田は、ここから先、さらにディフェンス重視の戦略を練り、「アレ」に向かう。その考えの中に、ノイジーはしっかりと入り込んでいる。打てないけど、守れる。これまでの外国人選手にはないタイプ。その特長を出し、ひょっとしたら、来季残留があるかも。異質の外国人選手、ノイジーに目が離せない。【内匠宏幸】
(敬称略)




