テレビやスポーツ新聞で取り上げられる「岡田語録」。キャンプイン直前で最も興味をそそられたのが巨人の印象を語ったもの。「最もてこずりそうな相手」として挙げたのが新生巨人だった。

監督が原辰徳から阿部慎之助に代わった。これだけでも変化が生まれる。さらに2年連続Bクラスの屈辱。「巨人は常に優勝を求められるチームやからな」と常々、ライバルを意識してきたが、今回のこの「要注意発言」を素直に受け取っていいのだろうか。

つい先日まで「巨人? どうやろな。あまりピンとこないわ」と口にしていたのに、1人の戦力補強が決まってから、トーンは変わった。

新外国人野手として、メジャー178本塁打のオドーアの獲得に成功。これに岡田は敏感に反応した。もともと外国人選手獲得は「ギャンブル」と考え、実績はアテにならないとしてきた。それなのに今回は少し違った。やはりメジャー178発はタダ者ではない。

この数字だけ見れば、過去の来日外国人バッターの中でも実績はトップクラス。日米の野球の違い、質の違い、環境の違いはあるにせよ、素直に認めるべき数字だと、岡田は考えている。

そこで数少ないデータからオドーア対策を施すことになる。スコアラーからの報告、実際にオープン戦で対戦しての感触。ターゲットをこれと決めたら、徹底的に掘り下げるのが岡田流である。

当然、重要になるのが捕手の見立て。梅野、坂本に厳命して、チェックすることになるのだが、そこで阪神の「捕手問題」はどうなるのか。ここも興味津々だ。梅野でいくのか、坂本メインでいくのか-。

2023年シーズン、日本一になって株を急上昇させたのが坂本だった。梅野の故障によるものではあったが、中盤から後半は坂本ひとりで乗り切った。開幕してから岡田には捕手起用法の法則に沿って、臨むことにしていた。それが「4対2方式」。2カード6試合、梅野が4試合、坂本が2試合。先発起用をこう割り振った。「これまでのベテラン、中堅の先発投手の時は梅野。新しい先発には坂本」と決めた。坂本の2試合、バッテリーを組むのは村上と大竹。これがズバリ的中。2人を2桁勝利に導いた。

これは今シーズンも続く。村上、大竹の時は坂本。これを決めている。そこにもうひとり。「4対2」から「3対3」にわずかだが変化することを認めた。

「去年、あれだけの実績を作ったからな。起用法もそら変わってくるやろ」。坂本を語る時、岡田は実に頼もしげだった。となれば村上、大竹に加えて伊藤将が「坂本組」の候補になる。

昨年と同様の先発ローテーション6投手で考えれば、「梅野組」は青柳、西勇、才木となる予想。仮に岡田期待の門別がローテーションに入ってくるようなら、新しい力を引き出す術を備える坂本と組むことになるだろう。

捕手に関する岡田の考え。「レギュラーキャッチャーが120試合以上、先発でいく。これが基本」としてきたが、それは2024年には当てはまらない。梅野と坂本。2人で1ポジション。実力派捕手を2人抱えているチームならではの起用法だ。「3対3」の法則によって、有効活用されれば、オドーアも巨人も怖くない?【内匠宏幸】(敬称略)