オリックスのドラフト1位横山聖哉内野手(18=上田西)を見ることができればなぁ、と思って清武のキャンプに足を運んだが、幸運なことに本来はファームで練習しているはずが、中嶋監督のリクエストで1軍で特打。さらにグラウンド横でノックも受けていたので、バッティングと守りの基本的な動きをじっくり見させてもらった。

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見に来て良かったと思った。「オッと思う」とはまさにこういうことで、横山の守備には魅せられた。ノックを受けて、ネットにスローイングするという練習だったが、柔らかい。

この柔らかさというのは、横山に備わっているもので、この動きを見てすぐに「ショートの守備位置についての動きを見たいな」と思わせてくれた。捕球してからの手の動きが速い。肘と手首がスムーズで、よく連動している。流れるような動きで、さらに素早い。高卒1年目でこれだけの動きができる選手はなかなかいないだろう。

どんなイメージか、参考になるように、レギュラークラスを思い浮かべてみたが、捕ってからの速さと、柔らかい動きはソフトバンク今宮を彷彿とさせる。今宮はさらに肩も強い。横山も強肩ということだが、早くその肩も含めて見てみたいと思わせてくれた。

正直、これだけでも私は清武に来た甲斐があったのだが、さらにフリーバッティングも見ることができた。中嶋監督が1軍での特打をリクエストした様子で、その場面に出くわしたことも幸運だった。

フォローが大きく、ホームランバッターというよりも中距離バッターという感じか。フリーバッティングだけに、しっかり左右に打ち分けていたが、高卒1年目であれだけのスイングができれば、十分だと感じた。

確かに打ち損じもある。そこは、プロの練習に慣れていけば、精度は上がるだろうし、気にすることはない。それよりも、このスケール感は、育てるのが楽しみな選手だ。181センチ、86キロとサイズもあり、体の大きさも感じさせてくれる。何より下半身がでかい。馬力が出そうだ。

オリックスには紅林がいる。その紅林も高卒1年目から5試合に出場し、2年目からレギュラーを獲得している。いきなり紅林を引き合いに出すのは少々気が早いが、横山にも1年目からどんどん実戦を積んで、バッティング、守備でレベルアップしてほしい。

攻守の動きを見て、試合形式で守るところを見たいと思わせてくれた。打てるショート、それも若くて、守れて、打てるショートは、本当に球団の宝になる。ここからプロのボールに苦しんだり、守りでもより高度なプレーに挑戦していくだろう。

じっくり、慌てずにという思いも当然理解できるが、伸びる時にどんどん感覚をつかみ、今のスケールにとどまらず、大きく育ってほしいショートの有望株だった。(日刊スポーツ評論家)

1月27日、投内連係を行うオリックス横山聖哉
1月27日、投内連係を行うオリックス横山聖哉