これもまた、1つの「清宮効果」だった。早実・清宮幸太郎内野手(3年)の存在が、同世代の選手たちに刺激と変化を与える。清宮は4日に行われた愛知招待試合での享栄戦で通算100号を放ったが、その前の1試合目に至学館と対戦。左右2投手の継投で4打数無安打に抑えられた。

 試合後、至学館の先発左腕・川口龍一投手(3年)の言葉が興味深かった。「腕(の位置)をさらに低くして、浮き上がるボールを投げれば打てないかなと」。普段はサイドスローだが、センバツ大会で東海大福岡・安田の清宮に対する投球を見て「打ちづらそうだった」とアレンジした。

 投球フォームに変化を加えた上に、明確な攻略法も頭に描いた。「外を引っかけさせるイメージで投げた」。2打席目は外角のスライダーで一ゴロ、4打席目は外角の直球で一ゴロ(記録は失策)に抑えた。スピードや腕の振りも微妙に変え「少し、抜きながら」コーナーに丁寧に集めた。

 「松坂世代」や「マー君世代」など、「○○世代」と呼ばれる年代にはハイレベルな選手がそろうが、清宮もその存在になりうる。かつて、巨人の坂本が小学校時代のチームメートだったヤンキース・田中とお互いを高め合ったように、今の高校生は清宮を指標にレベルアップを図る。

 100号を浴びた享栄・早矢仕(はやし)飛希投手(3年)は「悔しいです」と唇をかんだ。9回1失点で完投し、チームは5-1で勝利。試合後に清宮から「ナイスピッチング」と声を掛けられ、「ナイスバッティング」と答えた。「甲子園でやろうな」と再戦を求められた。「次は、絶対に抑えます」。早矢仕もまた、清宮への雪辱を胸に進化する。【久保賢吾】