国立大医学部出身という変わり種の元投手が新球団で奮闘中だ。ルートインBCリーグの福井は運営会社が変わり、来季から球団名もミラクルエレファンツから、ワイルドラプターズに変更される。新球団で広報などの運営業務を引き受けているのが三木田龍元氏(26)だ。国立の北海道大学(北大)医学部(保健学科)から四国アイランドリーグ(IL)香川に進んだ左腕投手。なかなか数奇な人生を歩んでいる。

小樽潮陵高時代は3年夏に小樽地区大会で優勝。南北海道大会に進むも、甲子園に縁はなかった。北大医学部に進み、硬式野球部では札幌六大学リーグで通算2勝を挙げた。卒業前には北大大学院に合格していたが、最速142キロの左腕投手としての腕前を買われ、四国ILの合同トライアウトにも合格。16年ドラフト2位で香川に指名され「大学院には何歳でも挑戦できるが、野球は今しかできない」と野球の道へ進んだ。

18年の徳島移籍を経て、19年はドラフト1位指名され、BCリーグの新潟に移籍した。だが、21試合登板で防御率7・36と打たれた。「NPBを目指したが年齢と結果を踏まえて」引退を決意。病院などでリハビリを担当する作業療法士の資格も所有しているが「ビジネススキルを上げたかった」とリーグの事務局でインターンを始めた。福井で新球団立ち上げの話が舞い込み「少ない人数だけど僕みたいな知識の少ない人間も裁量を任されている」と新天地に飛び込んだ。

球団の運営会社にはYouTubeの「トクサンTV」が大口スポンサーとなり、同チャンネルで新球団名を発表するなど、情報発信にも意欲的だ。「地元の人に愛されて、いかに親しみを持ってもらえるか。選手はいろんなバックグラウンドを持っている。ストーリーを発信していければ」と三木田氏。異色のフロントマンによる、新たな取り組みに注目だ。【斎藤直樹】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)