昨秋のドラフト候補に名を連ねながらも、指名漏れを経験したNTT西日本の宅和健太郎投手(24=大商大)は、目標とするプロ入りを「ラストチャンス」の3年目に懸ける。

ドラフト解禁年の19年は主にリリーフを担い、都市対抗野球大会と日本選手権で8強入りに貢献。昨年は公式戦22試合で、23回1/3を投げ、22奪三振、9四死球、9失点、防御率3・47。快速左腕として注目を浴びたが、制球面で甘さが残った。「去年はとにかく勢いで投げていて、だめなときはだめだった。格上のチームだと苦しかった」。昨年の日本選手権後、自身の投球スタイルを見つめなおした。「悪いときに早い段階でどの球種で押さえられるか、ブルペンで考えるようになった」。投球の幅を広げることを目指した。

約2カ月半ぶりの実戦となった18日のオープン戦では、24度の都市対抗出場を誇るホンダ鈴鹿と対戦。3点を追う8回に登板。1回を投げ、右飛、投ゴロ、見逃し三振で3者凡退。打者を軽快に打ち取った。「無駄球が少なくて、コースではなくゾーンの中で打者と勝負できたのがプラスに働いた」と手応えを実感。ごまかしのない、丁寧なスタイルも身につけつつある。「打者1人でも自分の投球ができなかったらプロにいけない。今年がラストチャンスじゃないかなと思っている。試合、試合で勝負になってくる」。明確な目標を言葉にする姿に、覚悟がにじんだ。

新型コロナウイルスの影響による活動自粛期間には、地元・島根県出身の社会人選手らとともに、同県の高校生に向けたメッセージ動画の制作に参加。自身のツイッターでも動画を配信している。「コロナの影響で目標の見えない日々が続いていますが、こういう時に人として成長し次のステージに向けて歩み始めてください」と呼びかけ、野球の後輩たちにエールを送った。(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)