12月下旬、来秋ドラフト候補の高知・森木大智投手(2年)の表情は明るかった。「高校に入ってから、こうであるべきとか、野球を楽しめていなかったこともあります。でも今は吹っ切れました」。冬でも日焼けした顔で、笑みを浮かべて答えた。

言わずと知れた中学3年の夏。高知中に所属した当時、四国中学総体の決勝戦で軟式史上最速の150キロをマーク。以来、森木の名前は瞬く間に全国区になった。注目が集まるのは必然。球速だけが全てではないが、多くの人が「勝って当然」「森木=完璧」という目で見るのも自然な流れだった。

結果を気にして森木自身も完璧を求めた。試合内容にしても練習内容にしてもハードルを上げ、息苦しさに包まれて空回りしたこともある。来春センバツをかけた今秋の四国大会初戦の高松商(香川)戦。制球の乱れもあり、修正を試みるうちに自分の投球フォームを見失った。「抑えたい気持ちがあってそれを直そうとしすぎて崩れてしまった」。結果、11安打を浴び、5失点で敗退した。

「逸材」と呼ばれた森木でも壁に直面した。「高校2年の時は甲子園ベスト8にいっているくらいのイメージだったけど、現実はうまくいかないです」。後ろ向きな気持ちの立て直しに、家族の応援も大きかった。母・仁美さんからは「やるしかないよ」と背中を押された。「お母さんに『負けたら仕方ないよ』と聞かされてきて、徐々に切り替えが出来ました」。仁美さんもバレーボールをプレーした元アスリート。気持ちをくんで、厳しくも励ました。

甲子園切符をつかむチャンスは来夏1回のみ。1年夏は県大会決勝で敗退。あともう1歩の所で阻まれてきた。何が足りないのか。「よく考えていろいろ思ったりするんですけど、これまでにやっていることは良いことばかり。あとは自分の気持ちかなと。甲子園に来たいという強い思いを持ってやれば、自ずと結果はついてくるかなと思います」。肩の荷は軽く。高校最後の1年は、しがらみなくやりきる。【望月千草】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)