「食事が、成長を左右すると言っても過言ではありません」。
甲子園の常連・横浜(神奈川)の渡辺元智元監督の次女で、野球部の寮母として20年間「食」を通じて球児を支えた渡辺元美さんの言葉に、大人も子どもも耳を傾けた。
5月、埼玉県入間郡にある「Yataro スポーツベース」で、食育の講座が行われた。「成長期の栄養について学ぶ」と題され、野球スクールに通う子どもたちと両親など、約60人が参加。熱心にメモを取った。
ユニホーム姿の中学生の写真を紹介した。チームメートよりも、小さい選手が1人。「息子の佳明です」と明かした。当時は身長151センチ、チームでいちばん小さかったという。高校で165センチ、大学で178センチまで伸びた。楽天の渡辺佳明内野手(26)は、今では身長180センチ、79キロのプロ野球選手だ。「身長が小さくて、ずっと悩んでいました。でも20歳まで、ゆっくりずっと成長しました。だから、今小さいからと言っても大きくなる可能性はあるんです」。栄養素についてや、毎日体重を計ることの重要性を説いた。
試行錯誤を繰り返し、メニューを考えてきた。浦和学院のエースとして00年夏の甲子園に出場、ヤクルトや西武などで活躍した坂元弥太郎氏(41)は「横浜高校の選手たちは、とてもバランスのいい体をしている印象です。コツはありますか?」と質問。渡辺氏は、笑顔で「最初は、失敗もありました」と明かした。栄養学を学び、バランスのいい食事を出しても、選手たちの体は大きくならない。ある日、練習メニューの内容をマネジャーに聞いて驚いた。長時間の練習で消耗し、必要なエネルギー量が3食だけでは足りていなかったことが判明。それから練習中におにぎりの捕食を出すようになり、体格が変わったという。
球児の母として、管理栄養士として、食事にたずさわってきた。成長期間の球児を育てる家庭をサポートしたいという思いから、巨人大久保博元打撃チーフコーチの息子である大久保泰成氏らとタッグを組み「スポーツ栄養冷凍食 めしレスキュー」のメニューを監修している。球児の体づくりは、日々の食事から成り立つ。「成長期間の今しかできないことを逃さないように、準備をしてほしいと思います」とメッセージを送った。【保坂恭子】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)




