今年春から学童野球の軟式から中学硬式野球に取り組む選手も多いと思います。握るボールが硬くなれば、新しいグラブも必要になります。軟式用の価格は1万~3万円台でしたが、硬式用は3万~6万円超と高価な買い物になります。慎重に選びたいけど、その基準はメーカーか見た目か、材質か、価格なのか? 理想の選び方を埼玉・久喜市のスポーツ店「コヤナギスポーツ」の小柳翔(かける)氏(32)に聞きました。硬式に限らず、新しいグラブを買う参考にしてください。【取材=特別編集委員・久我悟】
【愛用グラブ持参して専門店に行こう】
コヤナギスポーツは埼玉県の北東部、JRと東武線の栗橋駅から徒歩5分。1000個以上のグラブの在庫数を誇る。特に硬式用の取り扱いが多いことから、県内をはじめ、栃木、群馬、東京からも中学、高校球児が訪れる。取り扱いメーカーは10社ほどと幅広く、新品を使えるように処理した「型付け済み」を約200個用意。必要なら駐車場や店内で軽くキャッチボールして、グラブ選びの参考にできる。「革のよしあしより、作りのいいグラブ」をモットーに品定めした商品を入荷する小柳氏は、初めて硬式用を求める小、中学生には、今まで使っていたグラブの持参を勧める。
【ウェブ下か、中央か、小指2本入れか】
小柳氏「グラブ選びで大事なのは、自分の捕球位置(ポケット)を確認することです。捕球位置は主に『ウェブ(網)下』や『中央』があります。プレースタイルによって変わり、ウェブの形にもつながるグラブ選びのベースになります。自分では分かりにくいかもしれませんが、専門店の店員なら、使ってきたグラブを見れば分かります」
最近は小指部分に小指と薬指を入れる「小指2本入れ」のスタイルがプロ、アマとも増えてきた。従来の「小指1本入れ」はグラブが開きやすく、右手を添えて正面の打球を確実にさばき、素早く送球動作に移りやすいように設計されてきた。
小柳氏「小指2本入れは捕球位置が『縦に3カ所』つくれるのが最大の特長です。シングルハンドキャッチやバックハンドに加え、体から離れた打球が捕りやすい。親指と小指の間の土手の幅が狭いグラブが2本入れに向いています。ここ数年、2本入れ対応や専用設計のグラブが販売されています。『2本入れ』がはやっているから、選ぶのではなく、キャッチボールなどで、確認するといいでしょう」
【手を入れてフィット感を確かめる】
もちろんサイズも重要だ。各メーカーがサイズ表記しているが、外見より手入れ部分が小さかったり、その逆もある。手を入れてフィット感を確かめたい。
小柳氏「中学3年間使ううちに背が伸びるだろうと、大きめを選ぶと、最初の2年は使いづらかったってこともあります。最初はちょうどか、気持ち大きめぐらいがいいです。使っているうちに若干手の中も広がります」
やはり、グラブに手を入れるのが大事だ。店によっては手入れを禁じているが、そもそも新品は革が縮んだ状態で、手が入らなかったり、フィット感が分かりにくい。小柳氏は商品によっては、深め、浅めなど同じグラブの違う型付け済みまで用意する。選択の幅を広げるためで、購入を希望すれば、新品を同じように型付けして販売する。
小柳氏 「型付け済みをそのまま購入される方もけっこういますよ(笑い)」
最近は型付け済みグラブを店頭に置く店が増えてきた。経験豊富な店員が店頭でアドバイスする店もある。球児に寄り添う野球専門店との出会いは貴重だ。
小柳氏 「お客さんの話を聞いてくれる店を選ぶことですね。それに、修理のできる店。グラブは購入してからも付き合いが長くなる商品ですから』
★内野用グラブの捕球位置とプレースタイルの関係★
【ウェブ下】ボールを深めに「つかむ」タイプ。すべての指で押さえられるので、捕球やタッチプレーの際にボールが遊んだり、こぼれない安心感がある。深めに型がつきやすく、ひもが切れにくい「クロス」や「H」型のウェブが向いている。
【中央】親指と小指でボールを「挟む」タイプ。捕球の瞬間にボールを握り替える「当て捕り」のように、素早い送球が必要な選手にお薦め。ウェブは親指、小指が動きやすく、ボールを中央に寄せやすい「バスケット」や「タータンショック」などが向いている。逆にこれらは「ウェブ下」だと、ひもが切れやす。
【3カ所】小指2本入れはグラブの手入れが浅くなり「ウェブ下」「中央」「土手」に捕球位置ができることから、シングルハンドやバックハンドでも捕球しやすい。「クロス」や「H」型のウェブが向いている。
★今春から硬式野球を始める人はご注意を★
【各団体の用具規定確認を】中学硬式野球の各団体には用具規定がある。例えばヤングリーグはグラブやミットは投手用以外は色の指定はないが、協賛企業の商品を使うよう指定されている。各団体のホームページに記載されているので、必ず確認しておきたい。
【守備位置が決まらない時は】新しいチームでは自分の守備位置がなかなか決まらない場合がある。小柳さんは、その際のグラブ選びとして、大人のオールラウンドタイプの小ぶりなもの、メーカーサイズ29センチぐらいを薦めている。外野用では内野を守りにくいが、オールラウンド型や大きめの内野用なら外野、投手も守れるからだ。
【軟式用を継続使用するなら】学童野球で使っていた軟式用ではダメなのか? 内側に当て革などして補強はできるが、指先が負けるなど耐久性に劣る。小柳氏は雨天時などのセカンドグラブとして継続使用することを勧める。「メインのグラブはぬらしたくないですし、ぬれたらしばらく乾かした方がいいですから」。
【低学年は指が握りやすいものを】小学生低学年までにグラブを選ぶには? 小柳さんは身長に合わせて大きすぎないグラブを提案するという。小さな子供は手の使い方も分からず、握力が弱いため、開閉ができる前に、嫌になって野球をやらなくなってしまうという。「指が握りやすいのは目安になりますね」。
◆コヤナギスポーツ かつては総合スポーツ店だったが、硬式野球経験者で、大手スポーツメーカーの直営店で修業した小柳氏が戻った5年前から、じょじょに野球の比重が高くなる。グラブ購入者にはメンテナンスカードを発行。グラブ購入から3年間はひも交換3本、グリス交換1回、破れ修理1回を無料で受けられる。セール期間や初売りの大盤振る舞いでも知られる。YouTube「コヤスポのバックヤード」では、小柳氏の忖度無しのコメントで人気を集める。住所は埼玉県久喜市栗橋中央1丁目19−21。




