阪神対巨人 巨人に連勝しスタンドへあいさつする矢野監督(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 巨人に連勝しスタンドへあいさつする矢野監督(撮影・加藤哉)

どうなっているのだ。この投手は。そんなことを思いながら試合を追ってしまった。阪神の話ではない。プロ初先発となった広島・山口翔だ。ヤクルト相手に7回2死まで無安打投球。最近はネットがあるので甲子園にいながらにして他球場の状況も分かる。上向いてきた打線ももちろん、新たな投手まで出てきたのか。おそろしい。広島は。

前日に続き、この日も巨人の指揮官・原辰徳と試合前に少しだけ話した。この日、ファームで登板した藤浪晋太郎について「球界の宝だからね!」と力説するなど野球談議に花を咲かせた。心底、野球が好きという感じで最近はほとんどいなくなった名物監督のムードたっぷりだ。

巨人の監督といえば昨季まで指揮を執った高橋由伸もよく話をしてくれた。昨季に聞いた高橋の言葉で忘れられないものがある。広島について、だった。

「こっちが連勝とかして調子を上げていって、よし、ここだっていう感じでマツダスタジアムに乗り込むんです。でも、そこでガツンとやられてしまう。その繰り返しです」

率直な人物だけに広島の強さをそういう風に表現していた。同じく昨季まで阪神の指揮を執った金本知憲も「マツダスタジアムには独特のムードがあるんよね」と、ビジター球団が感じるマイナスの雰囲気について話していた。

その広島はこの日で5月19勝目をマーク。月間勝利数の球団記録を塗り替えた。まさに絶好調だ。阪神も調子を上げて、巨人にきっちり連勝だ。貯金6として交流戦前ラストの3連戦に挑む。ここまでは理想的である。だが相手と場所が…。マツダスタジアムでの広島3連戦。まさに高橋由伸が言った状況ではないか。

ここまで対戦成績は4勝5敗とほぼ五分だが前回17日からの甲子園では3連敗を喫した。お返しの3連勝…とは言わないがここでボコボコにされるようでは今後が苦しい。首脳陣、選手は当然、いろいろ考えているだろう。ヘッドコーチの清水雅治に聞いてみる。

「言えるのは向こうの先発がみんな今季、当たった顔ぶれということ。床田、ジョンソン、アドゥワでしょ。過去のデータを見て、各打者それぞれでしっかり狙い球を絞ります。個人ミーティングをしますよ」

ここで勝ち越しができれば夢は膨らむ。「ぶち破れ! オレがヤル」か。誰がやるか。見せてもらおう。(敬称略)

阪神対巨人 9回表に登板し無失点ピッチングで締めたドリス(右から2人目)はナインをハイタッチで迎える(撮影・加藤哉)
阪神対巨人 9回表に登板し無失点ピッチングで締めたドリス(右から2人目)はナインをハイタッチで迎える(撮影・加藤哉)