PL~。青学~。東芝~。こう来れば往年の虎党なら誰でも次は「坪井~」となるはず。こちらは応援席にはいなかったが、この応援歌はもちろん知っている。坪井智哉。アマ球界のエリート街道を歩み、98年に阪神に入団した。1年目から安打を量産し、3割2分7厘の高打率をマーク。勝てなかった時代の阪神でファンに強い印象を与えた。
横浜遠征中のこと。ナイター後に中華街で食事をした。フラフラと横浜スタジアムの近くを歩いているとキャップをかぶったアスリート風の男が歩いてきた。
「おっ。坪井」。思わず声を掛ける。一瞬、無視しそうになった坪井はニヤリ。「ややこしい人が来たんかなと思いましたわ」。東京出身なのだが、こちらを相手にすると関西弁で器用に話す。こういうところも好感が持てる。
現在はDeNAの打撃コーチ。強打を誇る打線を指導している。そんな坪井が最近、決まって話すのが近本光司のことだ。顔を合わせる度に話が出る。「彼はいいですよ。いい」。
学校などは違うが高校、大学、社会人、そしてプロ1年目から主力というルートが似ているからか。いつも褒めていたが、さすがに今回はこんな話になった。
「ちょっと落ちてきてるのかな。やっぱり疲れもあるでしょうね。そりゃ新人ですもん。プロ経験のある選手の倍以上、疲れていると思いますよ。ボクも記憶があります。1年目終わったとき、ぐったりして3日ぐらい家から出られなかったもんです」
そんなエピソードも教えてくれた。だが坪井は同時にプロ、そして阪神の先輩らしく、こんな話もした。
「でも彼は絶対、3割を打たなきゃダメですよ。あれだけの足、スピードがあるんだから。打てますよ」。内野安打にもつながる走力は大きな武器になるはずと坪井は強調した。2番に入ったこの試合で3回に見せた生還の走塁などを見れば、なるほどと思う。
得意のはずのDeNA相手にカード負け越し。これで交流戦明けは1勝4敗となった。毎年、苦しむこの時期がやってきたのはもう間違いない。5割復帰へ向け、どう打開するか。ルーキーに大きな荷物を背負わせるわけにはいかないけれど近本が打って走って暴れていたとき、阪神は好調だった。再び、あんなムードを生み出せるか。逆襲へ。近本の復調はキーポイントの1つだ。(敬称略)




