ボアは“素手”で勝負する!? 阪神に入団確実となったジャスティン・ボア内野手(31=エンゼルスFA)。その新助っ人候補について28日、藤川球児投手(39)が「素手で打って目立つ存在だった」と米国時代からの特徴について高原寿夫編集委員に熱く語った。いよいよ、これは期待できるかも?

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毎年恒例の「タイガース杯ゴルフ」に参加した。この業界、オフになるとラウンドの機会が増える。コンペは大人の運動会的ムードで楽しめる。

参加者160人中、147位に沈んだ。そんなものだ。スコアはやめておくけれど、いつもよりはボールをまともに打てた気がした。思い当たる理由の1つは新しい手袋を使用したことだ。まったくの素人レベルでもそういうことは大事なのかしらん、と思った。

そんなことを考えつつ、ラウンドを終えたこちらに「お疲れさんです。ゴルフは得意分野じゃないスよね?」とニヤリ声を掛けてきたのが球児だった。

そうなんですよね。これが。まあ特に得意分野はありませんけど。学問でもスポーツでもギャンブルでも。そう答えたがせっかくなので新加入しそうなボアについて聞いてみた。なにしろ大リーグ経験者。すると球児は熱く語り出すではないか。

「正直、今は知らないけれど数年前に見た感じでは面白いと思いますよ。ブラゼルみたいな感じじゃないかな。もっと(バットの)ヘッドは立ってるけどね。手首も柔らかいし、いいと思いますけどね」

球児はカブス傘下にいた14年、これもマーリンズ傘下にいたボアと2度、対戦している。2打数1安打の対戦結果だったが、球をとらえる技術が日本向きととらえ、阪神関係者にその存在を紹介したという。

「でも次の年だったかメジャーで23本塁打を打って活躍した。その時点で(日本球界は)獲得はちょっと難しくなったんですよね」

そんな球児がボアに注目したのはある特徴だった。それは“素手”で打つことだ。「かなり目立つよね。素手なんやから。メジャーにもそんな選手はあまりいなかったからね」。

かつては掛布雅之、落合博満と素手で打席に立つ打者もいたが最近ではあまり見ない。大リーグには今でもチラホラといるようだが、数は少ない。そう言えば13年に阪神に在籍したコンラッドも素手だった。ボアが阪神に入り、素手で打つかどうかは本人に聞かないと分からないが興味は募る。

「素手だと手の中で細工ができる。(手袋を滑り止め)スプレーで固めると手の中で押したり引いたりする“遊び”がなくなってしまう」

掛布は過去に素手感覚の理由についてそう説明したことがある。ボアがそんな繊細な感性で打ちまくる助っ人なら、これは頼もしい。(敬称略)

◆球界の素手選手 かつてのプロ野球は手袋を使わずに打つ選手が大半だった。長嶋茂雄、王貞治(ともに巨人)、落合博満(ロッテほか)、掛布雅之(阪神)など強打者が名を連ねる。その後、素手の故障リスクや手袋素材の改良で素手の選手が減少していった。素手感覚を大事にする選手もおり、99年巨人戦で敬遠球をサヨナラ安打した新庄剛志(阪神)は、直前に右手の手袋を外していた。ここ一番の大事な打席では、素手の感覚を大切にしたという。今季は青木宣親(ヤクルト)が左手だけ素手で安打を重ねた。