どうにも巨人だけが笑っているような気がする。広島に3連敗を喫し、本来なら危機のはずだがそういう感じでもない。20日終了時点、4・5ゲーム差で追っていた2位DeNAは同時点で4位だった中日に3連敗。2位とのゲーム差は変わっていない。

もともと2位以下は5割付近をウロウロしているので当然かもしれないが、やはり、面白くない。今回の広島のように巨人にキバを向く姿をすべてのチームに期待したい。

その巨人に貢献しているのは8敗を喫している阪神だ。情けない限りだ。ヤクルトとの3戦目は競り負けに終わった。東京ドーム、神宮と続いた6連戦は2勝4敗。藤浪晋太郎の今季初白星などで盛り上がったものの終わってみれば借金を増やした形だ。

巨人に3連敗した後、短い記事が日刊スポーツに載っていた。新加入のボーアについてだ。今季阪神が1勝もできていない東京ドームで開幕から23打席無安打。球団1年目の外国人選手としては94年ディアー(開幕から21打席無安打)を抜く不名誉な記録になった…というものだ。

ロブ・ディアー。懐かしい名前が出たと思った。94年、阪神に鳴り物入りで入団。イチローが210安打を放ち、オリックスも脚光を浴びる隣で阪神は苦しみ、借金6の4位タイでシーズンを終えている。

大きな体に似合わず、取材に対して丁寧に応じる様子が印象的だった。これが大リーガーかと思った。多くの外国人選手を取材したが、特に紳士的な人物として記憶している。

シーズン中の同年8月2日、大阪・伊丹空港から帰国した。右手親指の故障によるものだったが成績も振るわず、帰国時に事実上の退団を隠さなかった。

「(日本は)これが最後になるかもしれない。阪神が勝てなかったのは自分が打てなかったせいだ。申し訳ない」。虎番記者たちにそんな趣旨の話をしたと聞いた。潔いな…と思った覚えもある。

26年後の現在。助っ人に打ってほしいのは当然だが助っ人が打てなかったから勝てないというのも情けないではないか。時代も変わった。ディアー同様、生真面目なボーアがいつか帰国するとき同じようなセリフを口にするのは避けたい。起用を決める首脳陣の眼力、決断は重要だ。同時に控えの選手も、もっと存在感を見せてほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)