オープン戦首位フィニッシュをうかがう阪神、最後はオリックスと恒例の関西対決だ。試合前、指揮官・矢野燿大が敵将・中嶋聡と話す姿が見受けられた。2人には共通項がある。今月27日に52歳になる中嶋と矢野は生まれ年こそ違うが同学年。そして言うまでもなく捕手出身ということだ。

捕手出身の監督がチームを率いるのは今季、両リーグでこの2球団だけ。生涯を通じて捕手の重要性を説いた知将・野村克也なら「キャッチャーが監督するところが勝たなあかん」と言うかもしれない。ともに頑張ってほしい。

その球界、今季は従来とは違う。前日の実行委員会で「延長戦なしの9回打ち切り」方針となった。コロナ禍による営業時間短縮要請に対応するものだ。今季はすべてオープン戦と同じ9回での決着。そこで重要なのは何だろうか。

やはり投手層の厚さは影響するだろうか。いい中継ぎがいるチームは早めにつぎ込める。ブルペンが不安なところは苦しくなるかもしれない。投手の充実している阪神にすれば、現状、悪影響はないはずだ。

そうは言っても先発投手から中継ぎがすべて好調とは限らない。投手が苦しいときにどう粘るか。それは、やはり捕手にかかっている。投手のその日のいいところ、そうでないところを見抜き、粘りのリードをするのは重要だ。

そこで思い出したのが以前、梅野隆太郎とじっくり話したときのことだ。梅野が自分に言い聞かせているのは「粘り」だという。

「試合が終わるまで惰性にならないということですね。先発投手の仕事ができるできないかは試合に流れによります。でも粘れたと思うときは勝つ可能性が高いんですよね。そういう風に粘る試合をつくっていきたい」。そんな話だった。

先発・藤浪晋太郎は親指に裂傷を追うアクシデントもあって血染めの投球。安打も四球も出て、正直、きついかなと思っていた。それでも4回1失点で終えられたのは藤浪にとってはよかっただろう。そして、それを引き出したのは梅野だと思う。引っかけた球など必死で捕球していた。6投手を受けたこの日、最後までその姿は不変だった。

中嶋は「打てる捕手」としてこの日、スタメンマスクをかぶらせた頓宮裕真に期待を寄せているようだ。その称号を持つ男がすでに存在する阪神。やはり、なかなか強いかもしれない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)