最後は楽天に2試合続けての0点負け。これで雨天中止を除き、エキシビションマッチ11試合が終了した。いよいよ13日から公式戦再開だ。9日に指揮官・矢野燿大はこんな話をした。

「優が一番後ろで投げるのが一番スムーズかなと思っている」。侍ジャパンで離脱していた岩崎優を、まずは“抑え”で起用したいという考えだ。

ここでプロ野球は好きだが、阪神にはそこまで詳しくないという人なら疑問が出るかもしれない。「阪神の抑えはスアレスだろ?」と…。

前半戦を首位で終えられたのはスアレスの働きが大きかった。8回岩崎、9回スアレスの「方程式」はほとんど成功。なのに前半戦以上にスタートダッシュが必要な後半戦の最初で、なぜ岩崎が抑えなのか。理由は明確。「スアレスは間に合わない」と現場が認識しているからだ。

阪神は五輪ブレークを利用し、外国人5人を帰国させた。コロナ禍などで家族が来日できなかった選手が寂しい気持ちを抱えているのは各球団共通だろう。それを理由に退団した選手も多い。巨人スモーク、西武メヒア、オリックス・ロメロ、最近ではソフトバンクのレイというところだ。

そんな事態も受けてか阪神は外国人選手の一部に一時帰国を許可した。約1週間の帰国期間を平等にするため、球宴に出場したスアレス、マルテの2人は日程がずれ込んでいる。

「監督ともよくよく話して決めました。彼ら(外国人選手)には『8月13日の後半戦開幕にはいいコンディションでいようね』と。彼らも『オッケー!』ということです」。球団本部長・嶌村聡は7月14日にそう説明していた。

家族が大事なのは当然だし、休むのはいい。でも後半戦はしっかり頼むよ。そういう流れのはずだった。だが間に合わないという。素朴にどういうこと? と思った。管理という言葉は好きではないが、そこをしっかりコントロールするのがフロント、あるいは首脳陣の仕事ではないか。

ブルペン陣を中心にいろいろな選手を試せたエキシビションだった。楽しみな部分も当然ある。同時にスアレスが間に合わないし、打線も元気がなくなってきたし…と不安要素も多い。少々不安な再スタートかもしれない。それを払拭(ふっしょく)する働きを各選手に見せてほしいのは言うまでもないが。(敬称略)