ここに来て広島か。そんな思いがしている。負けられない阪神は2日間の休み明けゲームで2-4と痛い敗戦。ヤクルトが勝っただけにいよいよ追い込まれた格好だ。広島には前回対戦だった9月末の3連敗に続き、これで4連敗。すべて甲子園での敗戦である。

広島相手の苦労で思い出されるのは前監督・金本知憲時代だ。現役時代、同僚だった緒方孝市(日刊スポーツ評論家)率いる相手に痛めつけられた。金本1年目の16年は7勝18敗。2位に入った17年が10勝14敗1分け。最下位に沈んだ18年も10勝15敗だった。

流れが変わったのは指揮官・矢野燿大の時代になってから。19年に13勝12敗と5年ぶりに勝ち越すとコロナ禍で120試合制になった昨季20年は敵将・佐々岡真司の1年目を攻め、13勝8敗と優位に終えている。

しかし今季ここまでは苦しい。これで10勝12敗となり、負け越しにリーチがかかってしまった。「M4」となった首位ヤクルトを含め4球団に勝ち越している阪神が唯一、負け越している相手だ。

広島に弱みを見せるのは別の意味でもよろしくない事実がある。シーズン中は最下位争いする時期も長かった広島だが現在は3位巨人に2・5ゲーム差の4位につける。残り試合が少ないのでは簡単ではないけれど弱っている巨人の状況を見れば、広島がギリギリで3位に滑り込んでくるケースも否定できない。

これで阪神はヤクルトに3ゲーム差となり、相当、苦しい状況だ。もちろん逆転Vは信じたいけれど2年連続の2位となる可能性は高くなった。そのとき、もしも広島が3位でくれば…。対戦成績の面でもっとも苦しめられた相手とCSの短期決戦を戦うのはやはりイヤだろう。

そんな状況を考えるのは少し早いのだがいずれにしても、これ以上は負けられない。この敗戦で、それこそ「10・19」からのヤクルト2連戦で相手胴上げを目の当たりにする恐れもより強くなってきた。

インサイドワークで矢野の評価が高い坂本誠志郎。そのリードで秋山拓巳、アルカンタラがソロ4被弾だ。「どれも“たられば”言えたらそんなん、もう。どれもやん。勝負いってる結果やからね」。捕手出身だけにリードなどの結果を重視することの多い矢野だが、もう、そういう話にもならなかった。とにかく勝つしかない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)