前日52号を放ったヤクルト村上宗隆がホームインした際、空を見上げて合掌。52本塁打の先達者・野村克也に感謝する様子を見せていた。「偉大な野村克也さんと本塁打数で並ぶことができて光栄です」。いいコメントだと思う。
野村はヤクルト、阪神でも指揮も執ったいうまでもないレジェンドだ。こちらも阪神監督時代に野球のこと、「野村の考え」をチラリと教えてもらった。その中で以前にも書いたけれど「そういうことがあるのか!」と驚かされたことに触れてみたい。
「1点をリードした9回裏の守り。しかし状況は2死満塁や。ここで投手がやるべきプレーは何か?」。野村が阪神監督時代に我々に出したクイズだ。記者仲間でいろいろと考えた。失策がこわいので三振がベスト? 同点までは仕方ない…とあきらめる?
すべて違う。「二塁走者をけん制で刺してゲームセットにする」が答えだった。「打者には球を投げんかったら打たれない。二塁走者はワンヒットで生還しようとリードを大きく取りがち。そこを刺す。それが最高の終わり方や」。そんな話だった。
快勝の阪神、主役は伊藤将司だろう。6回、守備のミスに足を引っ張られ、1失点したがほとんど完封勝利のような内容だ。特にいいと思ったのが2回、そして6回と2度までも一塁走者をけん制で刺した点だ。これは投球数が減るし、自分自身を助ける。何より相手を気落ちさせるのだ。
伊藤将の好投もあり、久しぶりに楽勝展開の試合を見た感じである。この日、2位DeNAが巨人に大敗を喫し、阪神がヤクルトを下した。1、2位が負けて3位・阪神が勝つのは8月25日以来、約2週間ぶりとこれも久しぶりだ。
そのときは阪神がDeNAを下し、ヤクルトが広島に負けた。それ以来、上位が落としているときに阪神も勝てなかったのでゲーム差は縮まっていない。この日、ようやくDeNAに1ゲーム近づけた。
9日から横浜スタジアムでDeNA2連戦だ。ここは重要である。ここで連勝し、5割復帰に成功すればその時点で2・5ゲーム差となる。DeNAは試合数を多く残しており、どうなるかまったく分からない。ズバリ言って阪神には2位から5位までの可能性があると思う。その最終順位はこの連戦にかかっていると言っても過言ではない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




