「おお。走るのもなあ。一生懸命やっとるよな。でも、もう、あいつ、本塁打出るよ。フリー打撃でも引っ張っとるしな。おお」

勝利後、指揮官・岡田彰布が「1発」予告を出したのはノイジーに対してだ。

今季ここまで7試合を終えて、本塁打は原口文仁の1本だけに終わっているチーム状況。指揮官の“予言”が当たるなら、今季の甲子園1号は新加入の助っ人が放つかもしれない。

チーム今季初の1-0勝利で終わった試合。先発・大竹耕太郎からブルペン陣の踏ん張りで首位ヤクルトに競り勝った。ヒーローは他にいるが、ある意味、目立ったのはノイジーだ。

先制の1回に放った右前打は1度、アウトと判定された。だが岡田のリクエストで覆り、好機をつくった。その直後の2回だ。左翼を襲うオスナの大きな当たりにタイミングを合わせ、ジャンピングキャッチ。グラブをはめた左手を上げ、アピールした。前日も一瞬、見失いながら横っ跳びで打球処理するなど守備で光っている。

さらに「いいな」と思わせたのは阪神最後の攻撃となった8回だ。2死からノイジーが放った三遊間の当たりはヤクルト村上宗隆のグラブをはじき、遊撃・長岡秀樹がカバーしたが間一髪、間に合わない。全力疾走していたノイジーが一塁に生きた。

「野球センスがありますよね。守りにしても走塁にしても。外野の守備も米国では経験が少ないみたいだけど、キャンプから練習してうまくなっていますよ」。外野守備走塁コーチ・筒井壮はそう説明した。

誰が見てもノイジーは全力でプレーしている。外国人が日本で成功するポイントの1つはこれ。ナメた態度でやって成功した選手はほとんどいない。その面でノイジーはチームに貢献できる存在だ。

貯金3と好調の阪神だが、課題は長打力だろう。特に本塁打。7試合を終え、本塁打は1本。2日DeNA戦(京セラドーム大阪)で代打・原口文仁が1本打っただけだ。甲子園を本拠にしているとはいえ、試合の流れを変える本塁打は重要だ。クリーンアップの中で、まず誰が打つのか。

そんなときに飛び出した岡田の予言である。ノイジー、打ちよるで-。9日にそれがピタリはまればヤクルトに勝ち越し、今季初の単独首位浮上となる可能性は高いのだが…。9日も甲子園から目が離せない。(敬称略)

阪神対ヤクルト 1回裏阪神1死二塁、ノイジーは右前打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対ヤクルト 1回裏阪神1死二塁、ノイジーは右前打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対ヤクルト 8回裏阪神2死、ノイジーは三塁強襲安打を放つ(撮影・清水貴仁)
阪神対ヤクルト 8回裏阪神2死、ノイジーは三塁強襲安打を放つ(撮影・清水貴仁)
阪神対ヤクルト 勝利に笑顔をみせる阪神ノイジー(撮影・清水貴仁)
阪神対ヤクルト 勝利に笑顔をみせる阪神ノイジー(撮影・清水貴仁)