試合前、少し驚いたことがあった。このナイターは「焼きビーフン」で有名な「ケンミン」がスポンサー。両軍に焼きビーフン1年分を贈る贈呈式が催された。こういう場合、普通は控え選手が出る。実際、阪神は小幡竜平。だがDeNAからは牧秀悟が出てきた。
「レギュラーが来るのはめずらしいです」(営業サイド)。それもあり、牧の表情を見ながら「気合入っとるな」と思っていた。
後付けで書いて申し訳ないが、その牧にやられた。2回、ノイジーのソロで先制したものの4回に追いつかれ、6回、前日も本塁打を浴びた牧の3ランで勝ち越されたのだ。
牧は阪神戦が大好物。対戦打率3割4分9厘はセ5球団でトップである。7本塁打もヤクルトと並んで最多タイだ。「牧、1人にやられとるな」。指揮官・岡田彰布もそうボヤく始末で痛い3連敗だ。
これで巨人に連勝した広島と5ゲーム差に。「失速の猛虎」を知る虎党ならドキドキする。5ゲーム差と言えば相当だが、それでも「またか」という思いが頭をよぎるかもしれぬ。
内容がよくない。今季、ワースト連敗は6月に記録した5連敗だが3連敗以上を喫するのはこれで4度目。だが、これまでと違うのは3試合とも「逆転負け」を食らっている点だ。27日巨人戦(東京ドーム)は2点リードの6回、伊藤将司が2発を浴び、8回に勝ち越しを許した。前日29日のDeNA戦(甲子園)も2点リードの9回に岩崎優が2発を食らう。そしてこの日だ。
独断で言わせてもらってこの2試合に限れば“気合負け”と思う。負傷しながら打球に飛び込んだバウアー、7回に近本光司のライナーを捕って一塁へ飛び込んだソト。前日は今永昇太も必死で投げていた。気持ちが入っていたのは牧だけではなかったのだ。
対して阪神だ。2回無死一塁でフルカウントから見逃し三振に倒れた佐藤輝明だ。不満そうな表情を浮かべる間に自動スタートで二塁へ走った大山悠輔が刺され、三振ゲッツーに。きわどい球ならバットを出してほしい。佐藤輝らしくなく妙に慎重になっている印象を受けた。
「ストライク、ボールはしゃあないけど。普段、ボール球振ってるのにあそこで審判に文句言うてもなあ…」。岡田も苦笑した。追う側は必死。そこを振り切らなければ勝てない。気持ちで負けてはダメだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




