指揮官・岡田彰布はおもしろい。大阪の言葉で言わせてもらうなら「やっぱ、おもろいなあ」。そう感じた試合である。ドキッとしたのは8月30日DeNA戦(甲子園)に負けた後だ。「応援歌できてからあかんなあ。そういうの多いんや」。岡田がボヤいたのは森下翔太に対してだった。
応援歌、つまりヒッティングマーチだ。「阪神タイガース応援団ヒッティングマーチ委員会」が森下個人のヒッティングマーチが完成したと公式サイトで発表したのは28日のこと。
それは翌29日DeNA戦から使用された。その試合で森下は2四球を選んだが3打数無安打。そして30日は4の0だった。その前の27日巨人戦(東京ドーム)も快音なく、3試合連続で無安打。それを受けての岡田発言だったようだ。
それにしてもだ。プロにとって応援団は重要なものだ。確かに一部で歓迎できないマナーなどの問題はある。闘将・星野仙一で勝った03年、応援のある問題で星野が激怒。「アイツらは球場に来んでええ。ガラガラでやったるわ」と話したこともある。
しかし、それは特別な状況で基本、ありがたい存在だろう。特に阪神のそれは熱く、他球団を圧倒する。チームにとっても大きな力になっているはず。それが分かっていても「応援歌できてからあかんな」と平然と口にする岡田である。
ドキッとしたが、同時にいかにも岡田らしいなと感じたのも事実だ。思ったことを忖度(そんたく)なしで口にする岡田の性格もあるが同時に森下へ“警鐘”を鳴らしたなと思ったからだ。ズバリ言えば「調子に乗るなよ」ということだ。
それが効いたのかどうか。そこは分からないが直後の試合で森下はプロ初の1試合2本塁打。終盤、接戦になったので8回の8号は特に意味があった。
目の下を黒く塗る行為は前からあるが「アイブラック」というのを初めて知った。佐藤輝明に塗られたらしい。まぶしさ防止の意味などがあり、結構なこと。ドンドン塗ってほしい。
だが独断と偏見で言って申し訳ないが、究極の楽しさは必死さから生まれるものだと思っている。実際、岡田はコーチを通じて森下に気合を入れたらしい。大事なのは笑顔でも気持ちはヘラヘラしないことだ。少なくとも星野や岡田の下では、そういう野球はない。マジック再点灯。厳しく楽しく、最後までいけ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




