延長12回、スコアレスドローに終わったこの試合で中日ビシエドが通算1000安打を記録した。その来日初試合は覚えている。阪神戦だった。16年3月25日、京セラドーム大阪。元監督・金本知憲の就任1年目、初公式戦だ。

その試合、ビシエドはメッセンジャーから来日初安打を放つと鶴直人から来日1号ソロもマークする。この活躍もあり、阪神は敗戦。さらにビシエドはこの3連戦ですべて本塁打する新加入助っ人の記録を作った。

その後も阪神キラーとして活躍。過去にこのコラムでも「ビシエドにどれほど打たれるんだ」と文句を言ったこともある。それから8シーズン。相変わらず4番を打っているのはたいしたものだと思う。

その16年の中日戦。阪神で出場していた助っ人野手の名前を言えるだろうか。答えはゴメスとヘイグ。ゴメスはともかく、ヘイグのことを覚えているのはなかなかの虎党だろう。

ヘイグも、その中日3連戦ですべて適時打を放つなど上々のデビューを果たしたが、その後が続かず、結局1年限りで阪神を退団している。15年まで在籍していたマートンが大当たりの外国人選手だったので比較もされたかもしれない。

こんなことを書くのは18年ぶり優勝を決めた今季のことを思うからだ。23年の外国人野手はノイジー、ミエセスの2人。ノイジーはここに来て奮闘しているが、さあ、残留はどうか。ミエセスは元々、育成方針もあっての獲得だし、ムードメーカーもであるし、残ると思うけれどまだ明確にはなっていない。

この2人の残留か否かを含め、来季はどんな助っ人を獲得するのかという注目もあるだろう。同時に「ひょっとして…」と思うこともある。それは指揮官・岡田彰布の考えを知っているからだ。ズバリ言えば、岡田は助っ人野手にそれほどの意味を感じていない。

「外国人、多過ぎるやろ。日本人選手のチャンスを狭めるやんか」「そもそも、昔と違って今はそんなに大活躍するような選手はけえへんよ」-。岡田が雑談などで話していたことだ。

実際、今季もノイジーやミエセスで勝った試合はそれほどではない。特に今の阪神は大山悠輔、佐藤輝明に加え、森下翔太らの成長がある。来季「生え抜き国産打線で連覇」なんてことになれば、いよいよ「猛虎黄金時代到来」かも。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神 試合前、通訳を交えミエセスと言葉を交わす岡田監督(右)(撮影・森本幸一)
中日対阪神 試合前、通訳を交えミエセスと言葉を交わす岡田監督(右)(撮影・森本幸一)
2016年3月25日、阪神対中日 1回裏阪神1死二塁、左前に来日初安打となる先制適時打を放つヘイグ
2016年3月25日、阪神対中日 1回裏阪神1死二塁、左前に来日初安打となる先制適時打を放つヘイグ