甲子園初のオープン戦、24年初の甲子園での実戦だ。最高気温10度と寒さがしみる中、1万4458人が楽天戦に足を運んだ。平日の昼間であることを考えれば、やはり連覇へ向かう阪神の注目度は高い。

その前で、しかし、ナインはいまひとつ輝けなかった。OP戦6連敗は、勝負度外視だからいいとはいえ、スカッとする場面は見たい。だが「おやおや」というシーンが目立った。

守備面の話だ。びっくりしたのは2回、佐藤輝明だ。阿部寿樹の打球は内野へ高く上がる。佐藤輝は前に出てきたが急に反転し、バック。結局、グラブに当てながら落球してしまう。「フォローの風が吹いてたんだけどね。それが計算に入っていなかったかな…」。内野守備走塁コーチ・馬場敏史は渋い表情だ。

さらに1点ビハインドの5回1死二塁。ここで渡辺佳明は三遊間を破る。この打球にチャージしてきた左翼・前川右京がこれをジャッグルしてしまう。公式戦なら痛い適時失策だ。

9回、その前川がフランコのフェンス直撃の当たりにジャンプしたがタイミングが合わず、二塁打にしてしまう場面も。

「ああいう当たりは練習からやってるんですけどね。『次は捕ろうな』という話はしました。それにしても前川はこれだけ試合に使ってもらってるわけだし、周りを見てほしいというか焦るなということは言いたいですね。ジャッグルにしても」。外野守備走塁コーチ・筒井壮はそう話した。

さらに、その走者は最終的に試合途中から一塁に入っていた小野寺暖のバックホームが悪送球になり、失点する場面もあった。結局、このゲーム、阪神の「3失策」はそのまま失点につながってしまったのである。

「ちゃんと捕って投げたらいいだけの話よ、あんなん」。指揮官・岡田彰布が言ったのは前川のジャッグルに関してだったが、すべてに通じることだろう。昨季、岡田政権になってもワーストだった失策数は、数そのものより、どういう場面で出るか、が重要なのは言うまでもないことだ。

前川の話ばかりになるがセ・リーグのチームで若手が売り出そうと思えば、やはり守備は避けて通れないところである。「守備の名手」になれなくても、まずは堅実な守りをすること。岡田に限らないが、首脳陣が望むのはそういうことだと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対楽天オープン戦 選手交代を告げる岡田監督(撮影・上田博志)
阪神対楽天オープン戦 選手交代を告げる岡田監督(撮影・上田博志)