阪神島田海吏のニックネームは「うなぎ」だ。若い人は知らないかもしれないが赤塚不二夫の名作漫画「天才バカボン」に登場する謎のキャラクター「ウナギイヌ」に顔が似ているから、そう呼ばれる。

本来なら「ウナギイヌ」と呼ばれるべきなのだが、5文字は長いし、めんどくさいのか、短くなって「うなぎ」。ウナギイヌとうなぎは違うと思うが細かいことは気にされていない。

かつて「土用の丑(うし)の日」に「ありがとうなぎ」とあしらわれたオリジナルグッズも発売された。今年も、もうすぐ丑(うし)の日がやってくる。だが島田はうなぎがあまり好きではないそうで「特に食べない」という事実もある。

ここで問題になるのは「ウナギイヌ」そのもののニックネームを持つ選手が存在することだ。野球ファンならご存じだろう。広島の秋山翔吾だ。これも西武時代から顔が似ているところからそう呼ばれ、現在もカープに「秋山うなぎ犬ティシャツ」が実在する。

こんなニックネームを持つ選手も、そうはいないだろう。しかも同じ右投げ左打ちの外野手。似ている部分は少なくない気がする。「ウナギイヌ対決」になったとき島田はどう思っているのか。本人に聞いてみたことがある。

「いえいえ。対決なんてとんでもない。あちらはメジャーも経験している大選手だし。ボクなんて、そんな、比べものにもなりませんよ。はい」。なんてめちゃくちゃなことを聞いてくるんだ、この人は…という表情を浮かべながらも島田は話してくれた。

その島田がラッキーボーイになった。8回に好投・才木浩人の代打で出ると相手の犠打野選を誘う。そのまま右翼守備につくと9回裏にはダイビングキャッチのビッグプレー。そして10回には1死一塁からのエンドランで快音を残す右前打で相手のミスを誘い、勝ち越し決勝点をもぎとった。

「うまいことなあ。残しといてよかったなあ。こんな仕事しとったら先発で使うよ」。表情の曇ることも多い指揮官・岡田彰布もしっかり褒めた。

「その場その場で全力を尽くすことができること、いい結果につながってよかったと思います」。島田はそう言った。秋山も最後に安打を放ち、カープファンを盛り上げたが、この日ばかりは「ウナギイヌ対決」を制したのでは…と言いたい気分である。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

広島対阪神 10回表阪神1死一塁、島田は右前打を放つ。投手島内(撮影・前岡正明)
広島対阪神 10回表阪神1死一塁、島田は右前打を放つ。投手島内(撮影・前岡正明)
広島対阪神 10回表阪神1死二塁、近本の左越え適時二塁打で生還した島田(左)を迎える岡田監督(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 10回表阪神1死二塁、近本の左越え適時二塁打で生還した島田(左)を迎える岡田監督(撮影・加藤孝規)
広島対阪神 9回裏広島1死一塁、島田は菊池の右飛をランニングキャッチ(撮影・加藤哉)
広島対阪神 9回裏広島1死一塁、島田は菊池の右飛をランニングキャッチ(撮影・加藤哉)