終わってみれば厳しい展開だった。9-6で勝った阪神だが終盤、漆原大晟、富田蓮のブルペン陣がふるわず、休ませたい石井大智、桐敷拓馬を投入しなければならなくなった。これが勝負のこわさだ。快勝とは言えない結果に「後半は勝ち負け」と言う指揮官・岡田彰布の表情も険しい。森下翔太に対する厳しい攻めもあって余計だった。

そんな中でも考えさせられたのは“流れ”だ。この試合、大きかったのは4点を上げ、突き放した6回の攻撃だろう。開幕2戦目に負けたグリフィンから1回に4点を先制したものの6回表までに1点差に迫られていた。それだけに中野拓夢、佐藤輝明らに適時打が出たその裏の攻撃は虎党を安心させたと思う。

そこに加え、1つのポイントに挙げたいのは2回の守りである。4点を先制した直後。巨人は1死から6番・泉口友汰が左前へいい当たりを放った。泉口は二塁を狙う。だが左翼・野口恭佑が打球に向かって内野手のようにダッシュ。フェンスまで転がる直前に球を拾い、すかさず鋭い球を送って、これを刺した。

これは大きい。泉口にすれば暴走ではないと思う。普通のプレーなら二塁打の当たりだ。1死二塁でつながっていく場面になっていたはず。後続があったかどうかは分からないが、失点していれば阪神にすればよろしくない展開だった。巨人にすれば失点後、すぐに1点でも返せば「まだいけるぞ!」となるからだ。

だが野口はそこを刺した。単なる好プレーというより、巨人ベンチをガックリさせ、相手に向かいそうな流れを断つという意味で、繰り返すが、これは大きかったと思う。野口は同様のプレーを28日中日戦(甲子園)でも見せていた。このときは素早い送球で打者走者を一塁に止めることに成功している。

「いいプレーですけどね。普段からそういう動きを想定して、練習をしていますから。あれを好プレーでなく、普通にこなしてほしいんですよ」。外野守備走塁コーチ・筒井壮はそういう話をしていた。

岡田も「あれなあ。うまいよ、うまい」と言ったものだ。ゴロに向かってダッシュするこのプレーはノイジーが得意にしたもの。この日はその6回に適時打も放った野口。助っ人野手ゼロで戦う阪神でノイジーならぬ“ノグチー”が攻守に戦力となるのなら、これは頼もしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対巨人 スコアボードに表示された阪神野口の夢を叶えるために大切なこと(撮影・藤尾明華)
阪神対巨人 スコアボードに表示された阪神野口の夢を叶えるために大切なこと(撮影・藤尾明華)