「おやっ?」と思ったのは遊撃のスタメンだった。恒例のオープン戦ラスト、オリックスとの3連戦。その初戦、「1番中堅」の近本光司から主力が並んでいく中で「8番遊撃」は高寺望夢だった。

前指揮官・岡田彰布が22年まで正遊撃手だった中野拓夢を二塁にコンバート。木浪聖也を起用した。そのサブは小幡竜平だ。もちろん試合途中では熊谷敬宥らが守ったりしているが、まあ木浪、小幡以外が先発遊撃手なのはめずらしい。

「シーズンが始まればどうしても打席数が減ってきたりとかで(OP戦で)打てていた選手でも打てなくなる。その辺をうまくこちらでコントロールしながらできればな、と。いい投手に立たせたかった。去年まで(ファームで)ショートやってましたからね」

オリックスの開幕投手、左腕・宮城大弥を経験させてやりたい。新指揮官・藤川球児は「遊撃・高寺」起用の狙いをそう表現した。これは指名打者で起用した栄枝裕貴についても同じことだったようだ。

これではっきり分かるのは、昨年まで1軍経験が少なかったこの2人を開幕からベンチに入れる腹づもりであるということだ。もちろん今後の好不調で変化する可能性はあるだろうが、フレッシュさを注入させる方向なのだ。

そして、もう1つ。「マルチポジション」についてだ。就任当初から球児は複数ポジションを守ってもらえるのがいいという姿勢を示してきた。これは元監督・矢野燿大にも共通することだ。それを変えて、固定させたのが岡田だったが、現代に照らし合わせればどちらがスタンダードなのかは正直、分からない。

何より大したものだ、と思うのは高寺である。この日は6回に「6-4-3」の併殺を完成させるなど無難なところを見せた。先日は一塁も守ったが、これで内外野は基本、どこでもやれるというところをはっきりさせたともいえる。

「便利というとアレですけど、ああいう選手がいればベンチとしては安心できますよね」。総合コーチの藤本敦士はそう説明した。確かに、高寺をこういう形で起用できれば、他の選手はいろいろ守らなくてもいいとも言える。

もちろん高寺が1軍の投手を打てるのかどうか…が最重要ポイントなのは言うまでもないのだが、高寺の存在は今季、1つの注目点かもしれない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)