“カベ”を破るために足りなかったのはこれかな-。放物線を描き、横浜スタジアムの左翼席に飛び込んでいく大山悠輔の打球を見ながら考えていた。
このDeNA戦が今季20試合目。新指揮官・藤川球児の下、健闘しているのか。もっと勝てたはずなのか。それは分からないが、この日まで10勝8敗1分け。「貯金2」の成績で迎えた20試合目の節目だった。
実は…というまでもなく、熱心な虎党なら先刻ご承知だろうが試合前の「貯金2」が今季のベスト。ここまで「貯金3」を狙った試合では3月30日・広島戦(マツダスタジアム)、4月8日・ヤクルト戦(甲子園)、そして4月18日の広島戦(同)と“3連敗”を喫していた。
広島3連覇監督・緒方孝市(日刊スポーツ評論家)はだんご状態で始まったセ・リーグについて「交流戦まで5割前後で耐えることが重要」という見方を示している。その意味では踏ん張っているとは言えるのだが、勝ち越しが多い方がラクなのは言うまでもない。ここに来て次第にA、Bクラスがハッキリしてきている現状ではなおのことだ。
そこにあって阪神は「貯金3」のカベを乗り越えられない状況が続いていた。その意味でこの日は4度目のチャレンジだ。そこで幸先よく、3番・森下翔太の適時打で幸先よく先制に成功。3回に追いつかれても直後の4回表に中野拓夢の適時打で勝ち越した。だが先発・門別啓人が走者を残して降板した6回裏。1死一、三塁のピンチで救援した桐敷拓馬が牧秀悟に同点の適時打を許し、そのまま延長戦に突入した。
その延長10回、飛び出したのが大山の1号決勝ソロだったのである。今季は5番打者としてスタートしている大山。当初の3番・佐藤輝明、4番・森下というクリーンアップ構想は早々と変化し、現在は3番・森下、4番・佐藤輝だ。
しかし大山は佐藤輝のアクシデントで一度、4番に入った以外は、ずっと5番のまま。若い2人のうしろを打つ打者、クリーンアップを締める存在として力を発揮してもらおうという球児の構想は不変だ。だが、ここまで打率も伸びず、本塁打に至っては0本だった。球児は「いつか打つって、そんなもん」と一笑に付したが本人は気をもんだことだろう。プロ入り後、最も遅いシーズン初アーチか。だが、その1本はチームに力をもたらすはずだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




