ベンチに座る佐藤輝明の表情が少し気になった。雨天による長い中断。指揮官・藤川球児をはじめ、各コーチ、選手はそれぞれ近くにいる同僚となにやらしゃべっている。だがモニターに映る佐藤輝はまっすぐ前を向いたままだった。

心の中は分からない。それでも、なんとなく元気がないように見えた。それはそうかもしれない。コンディション不良で17、18日の広島戦を欠場してから調子が上がってこない。

19日のDeNA戦(甲子園)から復帰したが同カード2試合で7打数無安打、3三振である。このヤクルト戦も6回までに3打席がまわり、無安打で2三振。長い雨天中断を受けた8回の第4打席でようやく右前打を放ったが、軽く合わせた感じでまだ本来の様子ではない。

甲子園で試合復帰するときは「ボクは元気です」と話していたが、万全にはもう少しということだろうか。そんな佐藤輝がこの日、笑顔を見せていたのは試合前。元同僚のヤクルト青柳晃洋と何事か会話していたときだ。

阪神から昨オフ、ポスティングシステムで米大入りした青柳。しかし結果が出ず、1年とたたずに日本復帰。ヤクルト入りしているのは承知の通りだ。その青柳が22日の阪神戦(神宮)で先発する。「タイガースというところで思うところはいっぱいある。去年まで一緒にやっていたメンバーなので、やりにくさはあると思う」。青柳はそんな話をしていた。

登板予定の日にやたら雨が降る、独特の投球フォーム、投ゴロはワンバン送球する…などいろいろ特徴のある青柳。阪神時代の記憶で言えば、やはり右打者には強かった。同時に左には打たれた印象が残っている。普通といえば普通なのだが、最近はそれと反対の選手もいるので、セオリー通りということか。

そこで期待するのが佐藤輝だ。「対戦したことがないのでしっかり対策していく。(変則投手は)好きなイメージ。どんな球を投げるのかはやってみないと分からないですけど、イメージは膨らませながらいきたい」。これは青柳がヤクルト入りした際の談話だ。

CSまでは時間もあるし、ここで調子を落としておくのもいいかもしれない。それでもやはり、早く元気な姿を見たい気もする。ここはガツンと大きいのを青柳から打って完全復活といけば面白いが…。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)