CSが始まった。ファイナルで阪神の相手となるのはDeNAか、それとも巨人か。今シーズン、阪神の全試合を取材してきた立場から決戦を見た。
初戦はDeNAの圧勝だ。朝から雨が降り続く横浜スタジアム。ブルー一色の中、先発ケイが好投し、4番・筒香嘉智が先制、中押しの2本塁打含む4打数4安打3打点と暴れた。これ以上ない展開だろう。
そんな中「ほお」と思ったのは3回、DeNAが2点目を奪った場面だ。1死二塁から1番・蝦名達夫は左前打。これに三塁コーチ・河田雄祐は大きく手を回すのだ。減速しかかっていた二走・林琢真は三塁ベースを蹴ってホームへ。きわどいタイミング-と思ったが巨人の左翼・丸佳浩からの送球をカットした岡本和真がボールを握り直し、送球できない。結果は悠々の生還となった。
この12月で58歳になる河田は走塁のプロフェッショナルだ。帝京高から広島入りした頃は、1歳年下の広島3連覇監督・緒方孝市(日刊スポーツ評論家)らとともに「特走隊」というチームを組まされ、朝から夜まで走塁練習を積んだ。
緒方政権での3連覇のうち、最初の2年はコーチとして貢献。その後も指導者を続け、今季からはDeNAのコーチを勤める。好打者が多いものの、正直、大味な攻撃が目立つDeNAにひと味加えようとしているところだ。
「三塁コーチはどうやったって文句を言われる仕事なんです。これは仕方がない。でも阪神はそういう面でも強いですからね」。先日の横浜遠征、阪神で同じ職務に就く田中秀太と雑談していた河田と話すと、そう笑って話していた。
その河田の好判断もあっての加点。派手さはないが4回にケイが2ランを被弾していただけに大きい得点だ。「下の方はかなり緩かったという報告も聞いていた。アンツーカーも滑り、スパイクの裏もだいぶ土が着いて、グリップ力がない中でね。できることをやってくれた」。DeNA監督・三浦大輔もそう振り返った。短期決戦でこれが出たのは意味があると思う。
阪神にしても要警戒である。約2週間、実戦、真剣勝負から離れているのはやはり勝負勘、試合勘の面で不安はある。甲子園では本塁打同様、足攻も効果的だ。もちろんその面でも負けていない阪神だが、相手がどこでも相当な覚悟を持って迎えなければならない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




