植田海にしかられた。ヤクルト戦の勝利後、甲子園通路を梅野隆太郎と談笑しながら歩く植田に声をかけた。「初打席かな?」。すると植田は「違いますよ。3打席目です。打点1です」。「すみませーん」と謝ることになった。
カード勝ち越しを決めたヤクルト戦。3点リードの8回表だ。「2番二塁」でスタメンの中野拓夢に代わり、植田が二塁の守備位置に入った。その裏、2死走者なしで打席がまわり、左飛に倒れたのだ。
中野はどうしたのかな? そう思いながら同時に植田の打席って見たかな。そんな思いが湧き起こったが確認しないまま試合が終わり、冒頭のやりとりになったというワケである。
植田は4月28日、神宮でこの日と同じヤクルト戦の8回に代打で出場。それも3番森下翔太の代打で出ている。何事かと記録をたどると森下が自打球を当てて、途中退場したゲームだった。
その8回は四球。さらに9回2死満塁にも2打席目がまわり、ここも四球を選んで打点1をマークしている。「今季初打席」なのは甲子園で、だった。
それにしても、ずっと1軍ベンチにいながら、これだけの打席数である。急に打席に入れ、と言われても、正直、難しくないのか。そんな話をすると植田はさらりとこう言った。
「こればかりは仕方がないですから。難しいと言っても、そんなにヒットを期待されてるワケじゃないから。そこは気楽ですよ」
思わず、にやりとさせられる“本音トーク”だ。確かに現状のチーム状況で、植田にそれほど安打を期待していることはないのかもしれない。
逆に考えれば、代走のスペシャリストとしての仕事がしっかりあるということだ。そういう責務があっての1軍選手である。それぞれの役割を全うするという意味で、植田がベンチにいるのもチームが勝てる条件なのかもしれない。そんなことを思った。
心配した中野の状況については指揮官・藤川球児は「たくさんの選手が疲労してますよ」。休養目的の途中交代だったよう。一気に暑くなり、甲子園でのこの3連戦はきつかったはず。14日からは9連戦。バンテリンドームの次はマツダスタジアム、甲子園と屋外だ。海外FA権も取った植田が今後も阪神の代走、守備固め要員として貢献してくれれば力強いのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




